子供の時に『三国志』を読みましたが、その本には作者の名
前が「羅漢中」とされていました。しかし実際には、羅漢中は
後世で原作をまとめて脚本にもした人で、原作者は別にいま
した。
その人は「陳寿」といいまして、3世紀に人生を送った人です。
彼は作家というより歴史家でして、『三国志』という実際にあっ
た話をルポとして事実に忠実に65巻にも及ぶ書物として完成
させました。それに脚色を加えて読み物として世に広げたのが、
羅漢中というわけです。
ところで陳寿にはもう1つ、残した有名な書物があります。それ
は、『魏志倭人伝』でした。
三国志と魏志倭人伝は、作者が同じなのです。ただ陳寿は、
実際に邪馬台国を訪れたわけでは、ありません。まとめられた
多くの史書を基に、書き上げました。
従って具体性に欠く部分は、いくつかあります。邪馬台国の場
所もさることながら、卑弥呼の鬼道の内容、彼女の最期、そして
邪馬台国の行方などです。
しかしそのことが、多くの謎を読んで、我々の興味と想像力をか
き立ててくれているわけですね。