昨日も書きました大伴家持が失敗した「蝦夷征伐」の「蝦夷」
というのは北海道ではなく、東北から関東(当時は坂東)地
方全体で、東北にはもう1つの朝廷があったと思われます。
そしてこの東国、すなわち東日本は縄文時代から西国より
一足も二足も早く栄えたこともあって、そこにある朝廷はか
なり強大だったはずです。
大伴家持は、蝦夷との戦いについて、次のように西国の朝廷
に報告しています。
「賊(蝦夷軍)は、蜂のように屯し、蟻のように集まり、攻むれ
ば山の藪の中に走り逃れ、放せば城塞を侵略する。蝦夷軍
の伊佐西古、八十嶋、乙代らは、一人をもって千人に相当す
る力を持っている賊である」
まさにお手上げといった感じで、なすすべなし。ひたすら相手
に感心するだけの報告書で、言い訳もここまで行くと見事と
言いたくなりますが、ただたとえこれが大袈裟だったとしても、
かなり凄い実力を持った東国の兵士たちと考えて良いでしょ
う。
10倍以上の数を誇りながら惨敗したのだから褒めるのは当然
なのですが、1人で1000人分の力を持っていると言わせるそ
の実力は凄いです。読んだ感じでは、少なくとも超人的な身体
能力を持った者たちが、東国には多数いたということでしょう。