鎌倉時代に時宗の信徒となって踊念仏を唱え続けた芸能人たちの謎 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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昭和の終わりの話ですが、私は某大作映画で得体の知れない

僧侶の役をさせて頂いたことがあります。いや、得体の知れな

いと、私が勝手に解釈していただけかもしれません。

 

森の中を飛んだり跳ねたりかなり奇抜な踊りをしながらひたすら

「南無阿弥陀仏」を繰り返すのです。前後関係はあるのですが、

とにかくその奇抜さだけを念頭に入れながら演じてしまいました。

 

設定は鎌倉時代なのですが、私はその当時全ての時代の日本

史には精通しておらず、一遍上人の時宗、そして踊念仏につい

て踏み込んで調べたことがありませんでした。従って、私が演じ

た僧侶が時宗の踊念仏を唱える怪僧だったことを後で知るとい

う、何ともお恥ずかしい話なのでした。

 

時宗には、確かにおよそ現代の常識からはかなり逸脱した奇抜

な僧侶が多くいて、人々の目を引いたそうです。

 

たとえば、芸能者(人)や忍者上がりです。彼らは派手な立ち回り

はお手のものでして、見物する人たちを引き付け、信者を増やし

ます。大道芸をさらに派手にしたようなダンスを繰り返しながら、ひ

たすら念仏を唱え続けるのです。

 

忍者は当然そうしたダンスは出来るでしょうが、芸能人はどうなの

でしょう。今のようにダイナミックな踊りをする「ダンサー」は、いませ

んでした。

 

ただ芸能人自体はおりましたので、そうした人たちを一遍上人や弟

子たちが手なずけただけでなく、スカウトもしたと思われます。どうい

う人をスカウトしたかといいますと、「元犯罪者」たちです。山賊など

のならず者は、大体身体能力が優れていました。

 

彼らを時宗の教えに沿って、更生させたのです。そして踊念仏によ

って、禊を繰り返したわけです。実際時宗の徒には、悪党から更生

した人は多かったそうです。そうした元悪党たちを、芸能人として更

生させる。そして「踊念仏」を教え込んだのだと思われるのです。

 

踊念仏は現在の盆踊りの元祖ともされていますが、当時芸能者た

ちがしていた踊念仏は現代のダンスパフォーマンスを思わせるよう

なダイナミックなものもかなり取り入れていたようです。

 

それらはやがて、軽業である猿楽などにもつながって行ったのでは

ないかと思われます。私もそうした歴史をもっと踏まえて演じるべき

でしたね。ちなみに某大作映画は、R指定ではありません。主演は

松田優作さんでした。遠い昔の話です。