西国言葉と東国言葉の特徴を先日書きましたが、西国言葉の
最たるものは、やはり京の都で貴族たちが使っていた「宮中言
葉」でしょう。
大坂(上方)では促音も江戸より少ないながら、あることはあり
ます。京都は、それをほぼ廃除しています。それどころか、角ば
った印象のある響きも、消していました。全てが、婉曲で長音加
工されています。
たとえば、「買った」というのを「買うた(こうた)」と言い、「かきくけ
こ」の発音は角ばった印象なのでなるべくオブラートに包むように
して、たとえば「痛くて」を「痛(いと)うて」と言います。
そして長音加工というのは、引っ張る言い方です。「血(ち)」を「血
(ちい)」と言い、「木(きい)」と言います。
さらには、鼻音を入れたりもしました。たとえば、今は2月ですが、そ
れを「二月(にがつ)」ではなく「二月(にんがつ)」というように、「ん」
を入れることで婉曲に表現しました。「手毬(てまり)」は、「手毬(てん
まり)」と発音します。
これらは今も京都弁として残りますが、ほとんどが宮中言葉を引き継
いでいるか名残りを残しているもので、かつての貴族たちの会話の一
端を垣間見ることができます。
それにしても、です。昨日は平安貴族たちが結構バイオレンスで喧嘩
をよくしていたことを書きましたが、この言葉遣いでどうやって喧嘩をし
たんでしょうね。