日本の石器時代の遺跡である大森貝塚は、明治時代にアメリ
カ人の考古学者・モースに発見されました。
ただこの発見は、大いなる勘違いを読んでいます。よく切れる
道具で切断されたと思われる人骨が、貝塚の中から発見され
たのでした。貝塚は、ゴミ捨て場でもあります。そこから、切断
された人骨が見つかったわけです。
それを見たモースは、「石器時代の日本人は人肉を食べる習
慣があった」と判断し、その解釈が日本国内でも定番化してい
るのです。
しかしその後の研究で、「人肉を食べた」との解釈は否定されま
した。というのも、この当時は食料が豊富にあり、人肉を食する
必要がありませんでした。そして人肉に関しても、実は「しょっぱ
くてとてもまずい」という検証例もあります。実際、石器時代に人
肉を食す行為は、まったくなかったと断定されました。
ただ、死者の遺体を切り刻んでゴミ捨て場に捨てるというのは、
何とも乱暴と言うか、野蛮人ですね。宗教的儀式や発想は、なか
ったのでしょうか?
その辺が恐らく、日本式の宗教感覚なのでしょう。「神=宇宙」と
いう古代からの発想が日本式と思われ、地球における「自然」も、
宇宙の一部です。そして人間を含む生き物も道具なども、最後は
その「自然に帰る」「宇宙に帰る」というのが石器時代の発想だっ
たのではないかと思われるのです。
貝塚に遺体を捨てるというとイメージは最悪ですが、この当時の
考えとしては、「自然に帰す」という埋葬方法だったのではないか
と思えます。