1869年6月の版籍奉還、そして2年後の1871年7月
の廃藩置県。これらは明治維新の目玉といえます。
これは、諸大名が土地と領民を天皇に返還し、藩を廃止
する政策です。従って大名たちは、権限を大幅に失うわ
けです。かなりの反発があったと思われがちですが、実
はむしろ逆だあったようです。
というのも、幕末においては、大多数の藩が赤字でした。
経済的困難に悩まされていたようです。しかも地方自治
が盛んな分、藩は私営のようなものでしたから、それらの
責任は領主が背負うことになります。
ところがそれら旧藩時代の負債は、新政府が請け負うこ
とになるわけです。では藩主たちはそのまま失業してしま
うのかというとそうではなく、県知事に任命されました。こ
れは今でいうと実質、赤字大企業の社長が負債を免除さ
れた上にキャリア公務員に転職させられるようなものなわ
けです。
さらに、所有していた屋敷地はそのまま私有が許可され、
また禄高性の廃止により還禄した者には金禄公債という
手当が交付されました。
こうして借金まみれの赤字社長は、裕福で贅沢な生活にな
り、仕事は安定した高級公務員になるという、美味しい転職
となります。多くの大名が大歓迎だったのも、わかりますね。