時代劇に結構付き物なのが、悪代官の存在ですね。無茶な
年貢の取り立てて納められなかったら、その家の娘に性的
暴行をする、なんてシーンがよくありました。
実際に江戸時代の代官は、どうだったか。代官というのは、
幕府の直轄地を支配する権限が、ありました。5万石程度の
収穫のある土地の行政を任されていて、旗本の中から選ば
れました。
代官の下には、手附や書役などといった部下がいまして、グ
ループで収税事務、一般民政、警察業務などを取り仕切るの
です。
こうした権限が拡大解釈されて時代劇には悪代官がしょっちゅ
う現れるのですが、実際に代官が裁くのは賭博程度で、重犯罪
になると、勘定奉行や町奉行に書類を送り、裁判をゆだねてい
ました。つまり、権限も限られていたのです。
また、年貢を納められない農民がいたからって、それだけで逮
捕する権限はなく、ましてその家の娘をどうこうするなんてこと
は、とても出来ませんでした。勿論時代劇でもそのようなことは
秘密裏にやることが多いですが、実際の代官の行動というのは、
かなりガラス張りでした。
それに農民というのは「五人組」制度があったり親戚同士の絆
が強くて、常に助け合いの精神がありました。それに、目安箱も
機能していたので、代官の悪行に耐えるほど弱くも大人しくもあ
りませんでした。
江戸時代には何度かテロ顔負けの一揆が起きていますが、そ
れはよほどの時でして、大体は話し合いで解決しています。お
上と町人の間のコミュニケーションは取れていまして、制度上は
ともかく中味はかなり民主主義の世の中なのでした。