江戸時代、ちょっと美味しい商売だった「赤蛙売り」という行商。 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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江戸時代は、品物を担いで街で売り歩く行商人というのが、

大いに流行りました。主には食物でしたが、富山の薬売りに

代表されるように、薬の行商も、盛んでした。


その薬売りの中に、「赤蛙売り」というのが、いまして、これが

流行ったということです。


赤蛙、そう、カエルです。これが、何に効くか。子供の、「疳の

虫」だそうです。


赤蛙を、どのように適用するか。簡単。食べるのです。赤蛙

を小箱に入れて、それを風呂敷に包み、「赤蛙はいらんかえ」

と売り声を張り上げて市中を歩くのでした。


関西では、赤蛙は気持ち悪がられたため、干物にしましたが、

江戸では、買い手がつくと目の前で調理したそうなのです。


丸ごと焼き鳥のように串に刺し、醤油の付け焼きにしたという

ことです。


「疳の虫」に、本当に赤蛙が効くのか。それは、定かでありませ

ん。ただ、この「疳の虫」というのは、乳児の異常行動を総称し

て言うものです。だから、夜泣き、かんしゃく、ひきつけといった、

赤ん坊によくあること、それでも親にとったら非常に心配でしか

も厄介なものを全て「疳の虫」といいました。


何故そんな妙な言い方をするかというと、それらは全て腹の中

に忍び込んだ虫によるのだとされていたからです。なので、高

い金を払って虫殺しの祈祷をお願いするケースもあったそうで

す。深刻だったわけで、そこにつけこんで赤蛙が疳の虫に効く

という都市伝説を誰かがつくった可能性もあります。


なので、藁にもすがる感じで、赤蛙売りを頼ったケースも多いと

思います。赤蛙1匹の値段が、40文。今でいうと、1000円で

す。安くは、ありません。


赤蛙売りというのは、藩お抱えで動く場合も多く、藩の貴重な

収入になっていたそうです。


ところで、カエルですが、今でも食用になります。カエルの丸焼

きを、私は食べたことがあります。


以前、このブログで、「とてつもない極上の鳥肉の味がして猛烈

に美味しいのが、こうもり」と書いたことがあります。それとは逆

で、ひからびて脂のまるでない鳥肉の味がするのが、カエルで

す。だから、焼き鳥のように串焼きにするのは、理にかなってい

ます。鳥肉の味はしますから。食べられないことは、ありません。


だから、赤蛙売りですが、親が酒のつまみに買ったケースも、な

くはないと思います。高くても、乳児の疳の虫に効くのなら、大人

の滋養強壮にも効くのではないかと思われていた可能性は、あ

ります。