『源氏物語』が現代の夜の世界に与えている影響。 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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今だ日本文学の最高峰と言われ続けている『源氏物語』ですが、この

作品、実は長編というよりは連作短中編集といった形式を取っています。

光源氏が主人公というのが統一されていまして、ヒロインを一作ずつ変

えての一話完結物語集です。


そしてそのそれぞれの物語にもタイトルがつけられているのですが、「夕

霧」とか「浮舟」など、いずれも色っぽく、ロマンチックなネーミングでして、

そのことも、この『源氏物語』の人気の要因になっています。


これらのタイトル名は、平安時代末期の女官の名前として、そのままつけ

られるようになっています。


この習慣は、後に遊郭の世界にも広まりました。源氏物語のタイトルにあ

る名前を名乗って遊郭で商売する女性が増えたのです。従って、そこか

ら生まれた言葉が、「源氏名」です。


やがて、源氏物語と関係のない名前を名乗る人に対しても、「源氏名」と

いう言葉が使われるようになりました。つまり、水商売全体における仕事

名を、「源氏名」と言うようになったのです。


この言葉、今も燦然と続いております。尚、ホステスや風俗嬢といった女性

だけでなく、ホストやウリセンボーイといった男性に対しても「源氏名」という

言葉は使います。


これも実は、江戸時代からの習慣でした。当時、「陰間茶屋」と呼ばれる

美少年遊郭、ウリセンの元祖みたいな遊び場も流行っていたのですが、そ

こで働く男性たちの仕事名も、「源氏名」でした。


この「陰間茶屋」ですが、働いていた人の多くは、役者の卵。特に歌舞伎の

女形の駆け出しの人など、金を稼ぎながら芸のこやしにする。といった目的

でアルバイトをしたそうです。つまり、「男色の方の趣味が強いから」という

理由でやっている人は、少なかったのです。


当然、そこからスターが生まれることも珍しくなかったのですが、中には、役者

を本業にできぬまま、20歳くらいかそれを超えてしまう人もいるわけでして、そ

の人たちは「年増」と呼ばれ、男性客より金持ち熟女が固定客につくことがほと

んどだったようです。つまり、ウリセンボーイから、ホストに変わっていくのです。


「そっちのが美味しい」、なんて考える男性がいそうな気がしますが、それはそ

れで、悲哀があったのです。

ただ私が思うに、男性の「色気を売る商売」の人の仕事名を「源氏名」と呼ぶ

のは、別な意味で『源氏物語』らしいと思います。


要するに、「光源氏」を演じていると考えれば良いのですから。