福沢諭吉、マンガのすすめ、そして女性論 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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福沢諭吉というと、『学問ノススメ』が有名ですが、この人は、マンガ

も勧めています。人間には、ユーモアが大事で、それを推進する漫画

というものの重要性を訴えているのです。


そして、それを実行もしています。1899年、福沢諭吉は漫画家の

北沢楽天を迎えて『時事新報』という新聞に、政治や外交などをテーマ

とした風刺漫画を描かせていました。その際の月給が、50円。これは、

当時だと県知事並みだったということです。


本人の書く社説「時事漫言」というコーナーも、非常にユーモアに満ちた

ものでした。そもそも『学問ノススメ』も、堅苦しいことを言っているので

なく、「勉強はつらいものではなく、楽しいものだから、もっと親しみを持っ

て取り組もう」と呼びかけているのです。


この漫画の件以上に傑作なのが、女性論です。明治以降政府は、悉く

禁欲的で固い道徳を押し付け、「結婚まで処女でなければいけない」

などという我が国始まって以来初といえるキリスト教的(本当にキリスト

がそう考えてはいなかったでしょうが)発想を広めていたのですが、そ

れを真っ向から否定していました。


「日本人女性は、性欲が満たされていない。だから、心身が脆弱なの

である」


これは、福沢諭吉の言葉です。つまり彼は、学問と漫画だけでなく、

「セックスのススメ」もしていたのです。「女性はもっと社会に出て男女交際

を楽しみ、自分の意志で結婚相手を選ぶべき。また、結婚後も、夫に従う

だけでなく、自分の考えを持つべき。そうすれば、神経症や婦人病にか

かることなく、心身の健康を保てる」と、訴えているのです。


そういえば、日本で最初に男女別姓を唱えたのも、福沢諭吉でしたね。

その後、彼のそうした柔らかい部分は、なるべく表に出さないのが、彼

の死後の国策だったようです。


いや、今柔らかいとしましたが、彼は、むしろ日本古来の柔らかさを取り戻せ

と言ったわけです。男女別姓を除けば。


この福沢諭吉、銭湯を経営していたのは、知る人ぞ知るといったところですが、

早めにつぶれたのは、お湯の温度がぬるかったから。しかしこれは、それま

でが熱すぎたわけで、「これはいけない。体に良い温度にしなくては」と、適正

温度を研究して定めての湯温でした。今なら、繁盛したでしょう。というか、

正しいことをしたのです。