自分に対してS、それともМ? 自己否定が趣味としか思えない文豪トルストイ | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

ブログの説明を入力します。

ロシアの文豪・トルストイは、20代半ばで脚光を浴び、1862年、34

歳の時、16歳下のソフィヤ・アンドレヴナという女性と結婚をします。


その後も、『戦争と平和』、『アンナ・カレーニナ』の二大傑作で、不動

の名声を得ました。


しかしトルストイは、この『アンナ・カレーニナ』を書いた後、小説をほ

とんど書かず、教育事業や宗教に没頭するようになります。また彼は、

「私有財産こそ、この世の最大の悪の源泉」などと述べ、ロシアの皇帝

であるニコライ2世に土地私有の禁止を訴えるのです。


そして、自分の財産を妻に譲り、処分してもらおうとするのですが、妻

はこれを拒否。まあ、当然でしょうな。結局、土地を子供たちに分ける

ということで、妥協しました。


しかしその後、トルストイは、自分の著作権を放棄すると言い出し、ま

たもや妻と衝突します。この時は、1881年以降の著作権を放棄し、そ

の前までの作品については妻の自由にするということになりました。


それで妻は、『トルストイ全集』を出版して、大儲けするのです。そうな

ると、「私有財産は悪」が持論のトルストイとまたぶつかり、溝は深まり

ます。


1884年、56歳の時を最初に、彼は、家出を何度も繰り返すことにな

るのです。


彼は、日頃の態度が暗かったわけではありません。ただ、自己否定

発言は繰り返していて、よく悩んでいたようです。こういう人は、鬱に

なったり、病気をして早死にしがちなものですが、82歳まで生きてい

るのです。


思うに、案外この人、ストレスをため込んではいなかったのではない

のでしょうか。悩むのが趣味。自己否定をするのが、好きだったと考え

て良いのではないかと思うのです。


ナルシシズム、他人ではなく自分を愛するという感情が存在するのと

同じように、SとかМといった感情が自分に対して働くケースというの

も、あるのです。特にこういう思考力が並外れた人というのは、色んな

ことにひねりの入った発想をしがちです。


ただこの場合、自分に対してSなのかМなのか、微妙ですね。両方が

交差し合っている気がしますが。


それにしても、この夫婦は、周りから見たらおもろいというか、週刊誌

などのマスコミが発達していたら、この夫婦げんかは良いネタになっ

て、本は余計に売れちゃいますよ。当時も、もしかしたら、周囲は面白

がって見ていたかもしれません。


まあ、私利私欲にこだわらないのは立派なのですが、あまりに極端

過ぎると、滑稽に見えてしまいますね。ただ、市場原理主義にのめり

込んでいる人には、ちょっと見習って欲しいですけど。


昨日花粉が凄かったです。24時近くに仕事から帰ってゆっくりその

花粉を洗い流すために長風呂をしたら日が変わったので、またもや

寝る前の更新と相成りました。それでは、しばしお休みなさい。


良い朝が訪れていることを祈ります。