ここ数回、行政事件訴訟法の訴訟類型について説明をしてきました。


訴訟類型の説明は終わりましたので、

事件訴訟法の中で他に出題される可能性の大きいところである

取消訴訟の訴訟要件について今回は触れていきます。


つまり、今日は主観訴訟の中の抗告訴訟の1つにあたる取消訴訟に焦点を当てていきます。



まず、訴訟要件というのは訴えが適法となるための要件のことです。


では、ここで問題です。

もし、訴訟要件を満たさないとどのような判決となりますか??


ちゃんと考えてみてくださいね砂時計



この場合には、訴えは不適法となるため本案審理には入らずに却下判決となります。

これについては本試験で何度も出題されているので(2007年の多肢選択式など)、他の判決の種類と内容とあわせてきちんと覚えておいて下さいねビックリマーク


話を元に戻しましょう。


取消訴訟の訴訟要件には7つありますが、それは何でしょうか??


これは非常に重要です。

受験生のみなさんの現状を把握するためにもスラスラと出てくるか考えてみてくださいね。


答えはこちらです。

処分性

原告適格

訴えの利益

被告適格

管轄裁判所

不服申立前置

出訴期間


現時点でどれだけ出てきましたかね!?

7つの中でも太字にしている処分性原告適格訴えの利益の3つが特に大切です。


この取消訴訟の訴訟要件というのは、本試験において頻出項目です。


管轄裁判所については2010年に、被告適格についても2009年にそれぞれ五肢択一で出題されています。

訴えの利益についても2008年に出題され、原告適格に至っては新試験制度になって最初の2006年の記述式で出題されました。


ところが昨年は、問題26で原告適格と処分性に関する判例が1つずつ出題されただけで訴訟要件に関して大きく聞いてくる問題はありませんでした。


それだけに不気味です。

個人的には今年はこの分野からの出題があるのではないかと予想しています。


特に処分性についてはたくさんの判例があり、しかも注目された最新判例も複数あるにもかかわらずこれまで大問での出題がありません。


処分性原告適格訴えの利益の3つの分野の判例はかなり多くの数にのぼりますが、例え時間がかかったとしても一度つぶしてしまえば点数に結びつきます。


参考までに私の話をさせてもらうと、行政法で得点を稼ぎたいこともあり、昨年は訴訟要件をしっかりつぶすことにかなりの時間を要しました。


しかも、民法の底上げに力を入れていたこともあり、この部分に着手したのは11月に入ってからです。


恥ずかしい話ですが、これまでは何となくわかっている気になり、ひとつひとつつぶしきれていなかったのですが、昨年は何が何でも行政法と民法の2つで点を稼ぐと決めていたこともあり、超直前の11月で間に合うのかと不安な気持ちを持ちながらも絶対にあきらめずにつぶしてやる、といった半ば根性でにやりましたね(笑)


でも今だから思うのですが、こういう勝負事には効率だけでなく根性や精神的要素も時には必要ですグー


私の場合は要領が悪かったので、処分性の判例をつぶすのに1日かかってしまいましたガーン

その時は何でこんなに時間がかかるんだと自分のペースの遅さに嫌な気分になりましたね汗


原告適格や訴えの利益も判例が多いところでしたので、それぞれ半日~1日を費やしてしまいましたしょぼん

他の訴訟要件のところも六法や基本書を手を抜かずに読み込んだため、やっぱりかなりの時間をつかってしまいました…


それでも全部の要件をつぶしたという状態に持っていけたので、この分野が出題されれば得点できる自信を持つことができました晴れ


本試験に向けての準備というのは、こういうのをひとつずつ創り上げていくものだと感じています。



私のようなペースの遅い者でも続けていけば合格できました。

あくまでひとつのサンプルではありますが、受験生のみなさんもこの分野を攻略して行政法の得点源のひとつにしてくださいねキラキラ

何回か前に行政事件訴訟法について3つの質問を投げかけ、そのうち2つ目までを終了しました。


今日は最後の質問について説明していきます。


まずはその質問から耳


③仮に主観訴訟と客観訴訟を法律の規定からなくしてしまった場合、

それぞれ憲法上の視点から合憲となりますか?それとも違憲となりますか??

受験生のみなさんは考えてみてくれましたか!?




主観訴訟とは、前にも説明したように国民の個人的な権利利益の保護を目的とするものです。


ということは、裁判所法3条1項における【法律上の争訟に該当】し、【憲法上の要請】として司法裁判所の権限に含まれるということになります。


つまり、抗告訴訟や当事者訴訟といった主観訴訟に該当する訴訟類型をなくしてしまうと、国民の権利利益の保護をはかる機会が失れるることとなるため、違憲となります。


これに対して、客観訴訟とは客観的な法秩序を維持するために、個人の権利利益とは関係なく、行政作用の適法性を保つことを目的とするものです。


そのため、裁判所法3条1項における【法律上の争訟には該当せず】、【憲法上の要請とは言えない】ということになります。


つまり、民衆訴訟や機関訴訟といった客観訴訟に該当する訴訟類型を削除したとしても合憲となり、どのような訴訟類型を規定するかはあくまで立法政策的な観点ということになります。


もしかすると、初学者の方や行政法をまだあまりやっていない方にとってはむずかしく感じたかもしれません。


しかし、このような視点の問題は4年前の2008年で行政不服審査法の問題で、行政不服審査の制度をなくしたとしても合憲であるか、といった形で出題されており、事件訴訟法が理解できているかという点で出題されてもおかしくないと思います。


ちなみにこの時は、この問題が不服審査法の最初の問題で、かつ、肢1におかれていましたのでけっこう混乱した受験生は私を含め多かったです汗


近年の行政書士試験は、行政法に限らず各法律や制度の理解ができているかということを試験委員が様々な視点で聞いてきますので、普段の準備から丸暗記ではなく理解した上で覚えるということを意識していただければと思います。

この問題の視点はずばり憲法の規定から見て合憲なのか、というより広い視点からの内容です。

昨日はニュースに関連して一般知識の話をしました。


今日は元に戻って行政事件訴訟法の続きといきます。


前回は主観訴訟に該当する訴訟として、(1)抗告訴訟と(2)当事者訴訟があり、抗告訴訟をさらに細分化すると6つの訴訟類型になりますがそれは何でしょうか?というところでした。

それとそれぞれの条文を上げてくださいとも書きました。


受験生のみなさんはきちんと考えてみてくださいね砂時計


抗告訴訟に分類されるのは、


処分の取消しの訴え(3条2項)

裁決の取消しの訴え(3条3項)

無効等確認の訴え(3条4項)

不作為の違法確認の訴え(3条5項)

義務付けの訴え(3条6項)

差止めの訴え(3条7項)


の6つです。

処分の取消しの訴えと裁決の取消しの訴えをあわせて取消し訴訟という場合もあります。


スラスラっと出てきたでしょうか?

これは基本中の基本です。


もし、現時点でわからなかった方も直前期には必ずこれらがすぐに出てくるレベルにしておいて下さいねビックリマーク

なぜならば、この数年訴訟類型に関する問題は必ず出題されているからです。

おそらく試験委員である学者さんは、事件訴訟法には大きな関心を持っていると思われます。



次に前に出題した


②客観訴訟に該当するものとして2つの訴訟類型は何でしょうか??


というところに触れていきましょう。


これもしっかり考えてみてくださいね砂時計


客観訴訟に該当するものは、

民衆訴訟

機関訴訟

です。


民衆訴訟とは、

(1)又は公共団体の機関の法規に適合しない行為の是正を求める訴訟で、

(2)選挙人たる資格その他自己の法律上の利益にかかわらない資格で提起するもの

です(5条)。


民衆訴訟については、具体例として選挙訴訟住民訴訟を押さえておいたほうがいいでしょう。

特に住民訴訟は地方自治法で毎年のように出ていますからね。


これに対して機関訴訟とは、

又は公共団体機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟

です(6条)。


具体例としては、

地方公共団体の長と議会の紛争

代執行訴訟

国の関与に関する訴訟

といったところがあげられます。


訴訟類型は覚えるまでが大変ですが、一度マスターしてしまえば得点源になってくれますのでぜひ得意分野にしてくださいねニコニコ

GWもついに終わりですねあせる


先程ニュースで見ましたが、フランスの大統領選で現職のサルコジ氏と野党のオランド氏による決選投票が行われるようですテレビ

現時点では、オランド氏が4~7ポイントほど優勢ではないかと報じていました。


大統領制と言えば、行政書士試験の受験生にとっても他人事ではありません。

各国の政治体制一般知識の政治・経済・社会の分野における頻出項目のひとつです。


せっかくなので代表的なところを整理していきましょう。


まず、今出てきたフランスは大統領制ですね。

ではフランスの大統領の任期は何年でしょうか??


しっかり考えてみてくださいね砂時計



答えは5年です。


大統領を採用している国にはアメリカ・ロシアなどがありますが、ほとんどが4年制なのでフランスの5年というのは特徴的です。


それから、フランスはアメリカと異なり国民による直接選挙であることも特徴的です。

これに対して、アメリカの大統領は4年制で、間接選挙です。



次に先進国の中で日本以外に純然たる議院内閣制を採っている国はどこでしょう??


さぁ、考えてくださいね砂時計


答えはイギリスです。

これは簡単なのでわかっている人が多いでしょう。

ちなみにイギリスの議会において内閣への不信任の議決ができるのは下院のみです。


議院内閣制と大統領制が混在している国にドイツがありますが、ドイツの場合は事実上議院内閣制です。

国際的な会議などへは大統領ではなく、首相が出席していますからね。

ちなみに現在のドイツの首相はメルケル首相です。


他に出題される可能性のあるところでは中国ですかね。

中国の場合は、最高権力を持っているのは一院制全国人民代表大会、通称全人代です。

他の国とは異なる特徴的な部分ですね。



以上見てきたように各国の政治体制で本試験に出題されるとすれば、

アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・ロシア・中国

といったところになると思います。


ちなみにこのテーマは、直近では2011年の本試験で問題47で出題されています。

つまり、一般知識の問題の1番最初の問題でした。

さほど難しい内容ではなかったこともあり、私も正解できました。


他にも確か2009年にも出題されていた気がします。


昨年出題されたため今年出題される可能性は正直少ないと思いますが、一般知識の場合、過去問は繰り返し出題される傾向があるため、念のため基本的な部分は押さえておいたほうがいいでしょう。


一般知識についてほとんど書いたことがなかったので、ニュースに関連して触れさせてもらいました。

受験生のみなさんのご参考になれば幸いですニコニコ

今日は雲ひとつなく快晴で気温的にも過ごしやすかったですね晴れ


今日の陽気は先月帰省してきた北海道の感じと似ていましたニコニコ

5月はいいですね。



昨日、行政事件訴訟法の訴訟類型に関して3つの質問を投げかけました。


①主観訴訟に該当するものとして2つの訴訟類型は何でしょうか??


②客観訴訟に該当するものとして2つの訴訟類型は何でしょうか??


③仮に主観訴訟と客観訴訟を法律の規定からなくしてしまった場合、

それぞれ憲法上の視点から合憲となりますか?それとも違憲となりますか??


受験生のみなさんは考えてみてくれましたでしょうか!?


それではひとつずつ説明していきます。


①の主観訴訟に該当する訴訟には、(1)抗告訴訟と(2)当事者訴訟があります。


抗告訴訟とは、「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」です(行政事件訴訟法3条1項)。

事件訴訟法の訴訟類型でも中心的存在はこの抗告訴訟です。


抗告訴訟と同じく主観訴訟に該当する当事者訴訟とは、法主体、つまり当事者間公法上の法律関係を争う訴訟形態です。

これだけだと何を言っているのかよくわからないって感じですねあせる

私も最初はそうでした。


当事者訴訟については、意味よりもどの事例が形式的当事者訴訟と実質的当事者訴訟のいづれにあたるのかを押さえるほうが大切だと思います。


このほうが点数に直結しますね。



では、抗告訴訟をさらに細分化すると6つの訴訟類型になりますがそれは何でしょうか??

また、それぞれの条文をあげてください。


思いの外長くなってしまったので、②と③は回を改めさせてくださいm(_ _)m

次回は抗告訴訟の中身に触れていきます。