■FNS歌謡祭 『オヒアの木』での感動のパフォーマンス■
2020.12.02 FNS歌謡祭で歌ったオヒアの木のパフォーマンスが実に素晴らしい。
お腹が大きい妊婦さん状態でありながらのテレビ出演は、どういう姿で出演するのだろうと気になっていた。
妊婦であると知らない人が見たら全くそれに気付かない姿での出演。
ドレス姿の美しい歌姫、という路線でのパフォーマンスだった。
毎回テレビ出演すると様々な人がいろいろな感想をSNS等に投稿するわけだが、今回は感動/称賛の意見がすごく多かったように思えた。
容姿が綺麗だったのもあるが、実にすばらしかったのが歌だ。
なんとも丁寧で、優しさ、温かさ、情熱などがじっくり伝わってくるような歌声。
前半~中盤あたりはほぼ穏やかで優しめの発声。
息の成分を多めに含ませたサラッとした抑えめな声や、少し張ったような声など、メロや歌詞の世界観に合わせて絶妙にダイナミクスコントロール(抑揚の調節)をしながらの発声だったり、フレーズの出だしをクレッシェンド気味にふわっと発声したり、とにかく全ての表現が丁寧。
そして浜崎あゆみの特徴といえば、音の持続の長さやフレーズ感によって周期や揺れ幅のキャラクターの違うヴィブラートを何種類も使い分けるエモーショナルなヴィブラートであるが、このヴィブラートコントロールも全てが丁寧。語尾の音符と歌詞を優しく一つずつ置いていくようなヴィブラート。
中盤~後半でオケにリズム隊が入ってくるDメロあたりからは徐々に声を張っていく熱唱スタイルに移行していくわけであるが、ここでも熱量を上げつつも丁寧な歌唱が続く。
高音で声を張っていく所なども含め、各音域ごとの旨みのある声色が全て出ており、今の浜崎あゆみの発声のスタイルではこれが最もシックリ来るであろうというパフォーマンスを感じた。
いわゆる完パケCD音源を聴いた時や夏ノトラブルのオンラインLIVEで聴いた時よりも、今回の歌唱の方がグッと来るものがあった。
テレビ出演を録画したものをこんなに繰り返して見たのは初めてかもしれない、というぐらい繰り返して見ている。
おそらく同じことをしているファンもきっと多いのではないだろうか。
第一子が生まれてまさに子育て中、しかも第2子がお腹の中にいる状態での愛するわが子への歌。
歌姫のイメージを綺麗に表した大きいドレス姿、ストリングス入りの上品なタイプのバラード曲とラグジュアリーな背景セット。
それに優しくて丁寧で情熱溢れる歌。
この全ての要素のシナジー(相互作用)がガッチリと噛み合った、今しかできない歴史的名演だった。
こんなにいい歌を歌う人のファンなんだなぁ、と自分が浜崎あゆみのファンである原点を再認識したようなパフォーマンスでもあった。
浜崎あゆみのステージといえばエンターテインメントなステージ。
多くのメンバーを従えた動きのある 『動』 のパフォーマンスもエンターテインメントの一つの形であるが、
やはり歌に焦点を当てた丁寧で心のこもった歌、というもの自体が素晴らしいエンターテインメントの形であると思った。
今年の残るところの2種類のLIVEでもこのような素晴らしいパフォーマンスを表現してくれることを期待していよう。