美しい静かな田舎暮らしを考えて
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溶岩敷石歩道のもくろみと制作レシピ

11月15日落ち葉掃除のあとのすがすがしい溶岩道路

[1/10]・・今ようやく振り返ることができるようになった溶岩敷石歩道の制作
[2/10]・・多雨の十里木で、溶岩敷石歩道を作るわけ
からの続き。

4ヵ月かかって完成した溶岩による敷石歩道は、最初、軽いもくろみから始まった。

当初の浅はかな考えでは・・・、
歩道の形に合わせながら、溶岩を見繕い、必要な長さに敷くのに一週間。
歩きやすいように、敷いた溶岩の上面を平滑に加工するのに4、5日。
溶岩同士の隙間に土をつめるのに3日。

さぁ、2週間程度で歩道は完了させて、草取りを再開し、秋までに芝地ができるぞ、と短くスムーズな日程として考えていたのだけど。

始めてみれば、挑戦の連続だった。。。

歩道スペースに合わせて、都合の良い形状の溶岩を探す。
横の形状が良くても、上面側があまりにもいびつであれば、他を探した。
また、溶岩の石質も、目が肥えてくると、軽石のようなものを避けて、密度があって重く、しかも表情の風合のよいものを探すようになった。
作業が進むたびに、選別眼は厳しくなり、山のように積んだ溶岩の中から、なかなか歩道用に使うものを選べなくなった。

それで仕方なく、最初は土壌改良のために地面を掘り起こしていたのに、それからは、歩道に使うに値する溶岩を求めるために、敷地を掘り起こすようになっていた。

なるべく距離とスペースが稼げるよう、大きな溶岩を掘り当て、さらにそれが、どこか一面が歩きやすい平面であった場合、うれしくなるという、いつの間にか溶岩ハンターとなっていた。

しかし、せっかく大きな巨岩を掘り当てても、歩きやすい平らな面を上面にすると、大きさに見合わず、上から下に長くなる形に敷石として埋めることもあり、苦労した割には距離とスペースが稼げず、憮然としたこともあった。

また、欲張って大きな溶岩を掘り起したはいいが、重すぎて、持ち上げられず、即興的なソリを用意して、どうやらこうやら歩道の場所にまで持って行って、なんとか敷石として埋め込んだということもあった。

挙句の果てに、疲れて注意が散漫になると、岩を配置するとき、指を重い石で挟みそうになり、ぶつかり合う石の音に、ひやりとしたこともあった。

一週間程度で、歩道の形に組みわせられるでしょ、と軽く考えていた自分の浅はかさは、すぐに消し飛んで、大量の溶岩を探して組み合わせるという日々に埋没してしまい、あっという間に、組み合わせだけに3ヵ月を要してしまったのだった。

その間に、全国的な梅雨の季節、腕を痛め回復に当てた日々、他の雑事に追われた日々、疲れと心労で特に曇りの日は気分が乗らなくて敷地に出なかった日々・・・、そんな季節と言い訳を織り合わせながら、地道な溶岩と組み合わせの探索を続けていたのだった。。。

掘る・・・、合わせる・・・、掘る・・・、合わせるの地味で単調な毎日。。。

歩道の形に合わせた、仮置きは、上面がなるべく歩きやすいように、高さを調整して地面に埋め込んではいたものの、所詮は天然の石・・・、凹凸がひどく、とても安全に歩けたシロモノではない。

僕は当たり前だけど、敷く前からわかっていたけど、わかっていなかったのは、初めてわが家に来る各配達の業者のみなさん。。。
おっかなびっくりで、僕のために、時には重い大切な荷物をあぶなっかしく運ぶ姿を何十度見たことだろうか。

一番、我が家に来る回数の多いヤマト宅急便の配達員は、すぐに歩道横の土の上を歩く事を覚えてくれた。。。

こうして、随分と配達業者の方には申し訳ない日々が続き、ようやく歩道の形に溶岩を敷き詰め終った後は、各溶岩の上面を歩きやすいように、平滑に削る作業が待っていた。

そのために、初めてディスクグラインダーという電動工具を使って、作業を行った。
僕は、電動工具自体、本格的に使うのは初めてのことだった。

溶岩の削りやすさというか、加工の手ごたえに、まったく印象のギャップが無かったのは、さすが4ヵ月の間、溶岩を手に取り続けてきたたまものと言えた。

予想外のギャップだったのは、削った溶岩の飛び散る粉。。。
作業するまでは、作業するところから1m範囲ぐらいのところまで粉が飛び散る程度と思っていたのだけど、木立の微風に乗って、周囲10m以上霞がかかるほど、粉が舞った。

辺りに人気の無い別荘地帯だから、許されたことで、平地の住宅街であったら、確実にクレームものだったと思う。

そして保護グラスをして作業に臨んだのだけど、グラスに粉がすぐに付着して、加えて汗で曇りもして、視界がほとんど効かなくなってしまった。。。
それでも作業に慣れたころには、その視界の状態のまま、なんとなくこれぐらいのところをこれだけ削っているという感じで、仕上げるようになっていた。

・・・ほとんど見えない状態で、余計なところを削ったら、仕方ないと諦めることにして、それよりディスクグラインダーの刃が跳ねて、キックバックを起こして、怪我をすることがないように集中した。

すごい粉で、マスクはしていたけど、ほとんど意味なく、作業が終わった後は、鼻孔の中が厚く溶岩の粉の被膜で覆われていた。

辺りに人気がなくても、周囲を霞ませる作業は、迷惑をかけているという思いに常にかられ、それが僕にとてつもない心労を引き起こさせた・・・。

体力的にも、決して軽くない危険なディスクグラインダーを、しゃがんだ姿勢で、溶岩に刃を当てる角度を気にしながら、怪我をしないように集中して作業しなくてはならず、もとてもきつかった。。。

常に自分の作業で出す、音と舞い散る粉が迷惑に思えて、焦る気持ちで作業を急いで、なんとか5日間の作業で、平滑に削る作業を終えた・・・。

これにより歩道制作の工程で、何が一番大変かという予想は、実際の作業でくつがえされた。
溶岩を歩道の形に合わせて揃えることが、一番たいへんと思っていたのだけど、ディスクグラインダーで削る作業の方が、短い日程でも、よっぽどきつかったのだった。。。

とにかく勝手に焦らされておかげで、思っていたより短い5日間の期間で作業を終えて、ほっとしたのだけど、無理な姿勢で重い電動工具を急いで使ったのがたたり、右腕を痛めてしまった・・・。



それでも、すでに十里木の夏は、終わりゆく印象を与え始めていて、僕が感じた作業に適したシーズンは、急速に終わりを予感させるようになっていた。

腕の回復もままならないまま、今度は個別に平滑にした溶岩が、高さはばらばらなので、一個一個の高さと傾きの角度を調整しながら地面に埋め戻す、不陸調整 [ ふりくちょうせい ] に取りかかった。

ディスクグラインダーの作業を終えて、これでやっと楽になるかと思っていたのに、・・・この不陸調整も辛かった。

なぜかというと、最初に一度歩道に形に埋めていたので、それをまた剥がして荒らした状態にして、そこから土を入れたり取り除いたりして、溶岩の高さと角度を合わせて埋め戻すという、作業の地味さが、とても堪えたのだ。。。

しかし、この不陸調整で、日用道路としての歩きやすさも決まってしまうので、精妙に臨む高さと角度に合わせる必要があり、地味な作業のくせに、気が抜けない。

溶岩を埋め戻す時には、調整の終わった隣り合う溶岩同士の隙間に、丁寧に土を入れ込む作業も同時に待っている。

不陸調整で、きちんと溶岩を置いても、横や下側にきれいに土が回っているわけではないので、上を歩いても問題無いよう、また溶岩の固定を強めるために、丁寧に隙間に土を入れていかねばならない。
入れる土も、こだわりなのか、一度、ふるいにかけて雑味を取り除いた土を使う事を、何故か気持ちの中で、強固に決めていた。

ふるいで土を作っては、溶岩同士の隙間に注ぎ込み、奥や下までしっかり入るよう、また突き固めるために、100均ショップのプラスチック製マドラースプーンで、しゃくしゃくと突き固めた。

溶岩を置くとき、なるべく溶岩周りにきれいに土を敷いて、隙間を無くしておく体力と気力の余裕がなかったので、どんなにふるいの土を注ぎ込んでも、マドラースプーンで、いくら突き固める作業をしても、残念なほど、土が入り込んでいく・・・。
地面にしゃがみ込んで、プラスチックの棒を石の間に付き刺しまくるという地味で退屈で理解されることに乏しい、通りすがる人にはあまり見られたくないような作業を自覚して過ごす自分がつらかった。。。

・・・こうして最後の溶岩まで、無理矢理、集中して作業を終らせた頃には、すっかり夜は更けていた。
しゃがみ続けた姿勢で、お腹と膝が痛くて、立ちあがるとき、身体がこわばって、老人のように見えたに違いない。

それからすぐに、敷地の前面道路に出て、振り返って、屋外照明に照らされた溶岩道路を眺めた。
「これでほんとうに4ヵ月に渡る作業が完了したのか・・・?!」

完成したばかりの、よそよそしい、きれいな仕上がり感を見せる溶岩歩道を見て、もうこれ以上、することがなくなったのを信じられない心持ちで、しばし眺め続けたのだった。。。

溶岩敷石歩道のもくろみと制作レシピ

次は、
[4/10]・・一度は完成したのだけど・・・。再調整の決定!
に続きます。

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