子供を伸ばすオススメ読書100タイトル vol.12 ミステリーエンタメ編②(過去記事再編版) | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 さて、夏休みが目前に迫っていますが、やはり夏休みには読書にいそしんでほしいものです。頑張れば10冊くらいはいけます。

 小学期のまとまった読書は、塾の勉強よりも下手をすると伸びる因になります。幼少期から頭がいい、とされている子には、必ず読書にハマっている時期があるものです。他人のことを読んで理解する、というコミュニケーションやイマジネーションの基本を培うことになります。

 そのような基礎的な部分を育てずに中学受験などをしても、思ったように伸びないことのほうが多く、却って苦しみが増すことにもなります。(とはいっても上位層の子でもしんどいものですが)
 大学受験になると影響力は少ないものですが、やはりしっかり読書をしたことがあるだけで、随分違いますし、「あ、この子結構読んでるな」というのはすぐにわかります。

 今日は読みやすいミステリーを中心にあげていますが、殺人事件のトリックどうこうが主になったものは少なくしています。僕はその辺には飽き飽きしていて、子供に薦めるという観点からも、少なめになっています。海外ミステリーのほうが、人間ドラマやエンタメ性が強く面白いものが多い印象はありますね。

 さて、このうちどれかを読んでみてはいかがでしょうか。作品数が多いので、サクサク行きたいと思います。


59、江戸川乱歩傑作選 江戸川乱歩 文章レベル★★★

 



江戸川乱歩さんは、大正時代から昭和にかけて海外ミステリーを数々和訳し、日本にミステリーを根付かせた貢献者ともいえます。今の池袋の立教大学の近くに元生家があります。

その文章はやはり大正時代の良さといいますか、流れるような文体で良いです。綺麗な日本語があります。ちょっとオドロオドロしいものも多いですが、それも含めてどれを読んでも面白いです。それくらいの毒は許容できる度量がほしいですね。

子供向けに書かれた「怪人二十面相」シリーズを読んでいただいてもかなり良いです。過去の経験からしても、これを読んでいる子は、地アタマが育つ印象はあります。が、怪人二十面相は今のエンタメ小説より文章がしっかりしていて、当時の子供より今の子のほうが読めないんだな、というのも感じたりはします。

この中でオススメは、今で言う500円玉みたいなものにトリックを施す「二銭銅貨」ですね。好きなのは、ストーカーがでかい西洋椅子に潜んでいるのではないかという恐怖を描いた「人間椅子」ですね。オチも秀逸です。

江戸川乱歩さんは、孤島の鬼、パノラマ島奇談、陰獣など、海外ミステリーの影響は受けながらも、日本オリジナルな名作を数々生み出しています。そのどれもが面白く、凄みを感じます。

ま、当時は「推理小説なんか読むな馬鹿になる」と今のスマホゲームみたいな扱いだったみたいですね。時代は変わっても母親のセリフはあまり変わっていないのかもしれません。


60、バスカヴィル家の犬 アーサー・コナン・ドイル 文章レベル★★★

 

 


けっこう読んでる子も多いですが、シャーロック・ホームズシリーズではこれをオススメします。短編集である「シャーロック・ホームズの冒険」も良いのですが、この長編がもっともホームズがかっこいいです。

ある貴族の死に際し、心臓麻痺が原因かと思われたのですが、そばには大きな犬の足跡がありました。ワトソン君が現地に乗り込み、調査をするのですが、夜な夜な魔犬と言われる恐ろしげな声に悩まされます。ミステリーにありがちな遺産相続系の話がでてきて、疑いがいろいろな人に行ったところで、ホームズさん登場という鮮やかな推理劇が展開されます。

コナン・ドイルでは、「四つの署名」「緋色の研究」「恐怖の谷」と長編がオススメです。長編といっても、そこまで長くはないので、ちょうどいいと思います。


61、スイートホーム殺人事件 クレイグ・ライス 文章レベル★★★

 



これは個人的に好きな作品でもあります。3人の子供たちが事件を解決していくお話(ミステリー)です。

シングルマザーで売れないミステリー作家のお母さんを有名にするため、隣の家で起きた殺人事件を調べはじめた3人の子供たち。恥ずかしがり屋のおねえちゃん、おしゃまでしっかりものの次女、お調子者で時に大胆で抜目のない末弟、の3人が見事に事件を解決していきます。そのうち、事件の捜査をする警部さんとお母さんをくっつけようとも画策し始めて、ドタバタ劇になっていきます。

なんか子供が頑張っていると応援したくなる部分ってありますよね。クレイグ・ライスが自分の子供たちをモデルにして書いたそうです。トリックはそこそこのものですが、3人の子供たちの活躍でほっこりできます。


62、大誘拐 天藤真 文章レベル★★☆

 

 



日本ミステリー会の傑作ですね。
刑務所を出たばかりの主人公がある刀自のおばあちゃんを誘拐しようとします。仲間たちと首尾よく誘拐を成功させたまではいいのですが、そのおばあちゃんが曲者。「100億要求せい」と無茶苦茶なことを言い始め、何故かおばあちゃんを中心に事件が展開しはじめ、メディアを巻き込んで大騒動に発展します。

そもそも100億というお金は、運ぶことも困難です。おばあちゃんは家族との軋轢から、自分は家族にとって100億の価値があるのかを確かめたかったのでした。ほとんど、おばあちゃんが主人公ですね(笑)
痛快な事件の後は、無茶苦茶やったのに、なんとハッピーエンドに終わります。その辺の顛末も最高にスリリングで読ませます。

殺人事件はもうえーわ、という方には最適なミステリー作品となることでしょう。


63、ダ・ヴィンチ・コード ダン・ブラウン 文章レベル★★☆

 



映画化もして、続編もどんどんでているシリーズの一作目ですね。フリーメイソンや陰謀説などが絡んでくるものがあるのですが、それは次作の「天使と悪魔」からとなります。

映画より、小説版のほうが謎解きが丁寧で良いです。ルーブル美術館の「フィボナッチ数列」から旧約聖書、ダ・ヴィンチをからめた歴史ミステリーの始まりです。謎解きがちょくちょく読者に提示され、「よーそんな小細工するなー」という感覚もあるのですが、海外ミステリーらしくテンポよく事件が進んでいきます。

やはり本格的な歴史ミステリーは面白いです。続編ではローマ教皇やらユダヤやらいろいろ絡んできます。(うまいことコアなところには触れないようになっていますが)続編を読んでいくのも良いと思います。ブックオフに大量に100円でありますよ(笑)


64、極大射程 スティーブン・ハンター 文章レベル★★★

 



これは僕が単なるスナイパー好きという観点から選んでしまっています。銃が好きなお年頃の男子には絶対面白いと思います。唯一のハードボイルドテイストの作品ですね。

かつて軍に裏切られ山で隠遁生活をしていた凄腕のスナイパーのスワガーの元に、大統領暗殺阻止の仕事が舞い込んできます。国のために再び戦うことにきめたスワガーでしたが、なんと、逆にハメられて、大統領暗殺未遂の汚名を着せられてしまい、逃亡生活を送ることになります。

なんといっても、どんなピンチでも冷静な状況判断を下すサバイバル感がかっこよく、心に傷を追ったマッチョな男の生き様がかっこいいです。シリーズものになっていて、現在では数作出ているので、それをどんどん読んでいくのも良いでしょう。


65、初秋 ロバート・B・パーカー 文章レベル★★★

 



これはスペンサーシリーズといわれるハードボイルドシリーズなのですが、この7作目『初秋』だけは毛色が違っていて、少年を育てるハードボイルド的優しさがにじみ出た作品となっています。日本ではこの作品が最もヒットしたそうです。

ある婦人から探偵スペンサーに、離婚する元夫から息子を取り戻してほしいとの依頼が来ます。その子は、夫婦間の駆け引きのダシに使われていて、自分の意思も示せない言ってしまえば軟弱な感じの子なのでした。

スペンサーはある野外の小屋にこの子を連れて行き、「自立」するために、自分の意思をもち生きるとはどういうことか、を伝えるため(かどうかはっきりとはツンデレ的に書かれていないです)、少年と共同生活を始めます。徐々にたくましくなっていく少年。絆を深める少年とスペンサー。
やがて別れの時がやってきます。

心温まるストーリーになっていて、好きな作品です。いわゆるハードボイルド臭も少なく、薦めやすいですね。この少年が成長した『晩秋』というシリーズもあります。僕はこれもふくめて数作しか読んではいませんが、スペンサーシリーズはかなりたくさん出ている上、種類も豊富でメジャーリーグを扱ったものなんかもあり、そちらを読んでいっても良いでしょう。


66、奪取 真保裕一 文章レベル★★☆

 


これはいわゆる「クライムミステリー」という部類で、犯罪をする側が主人公です。

偽札作りを完璧にするために集まった3人が主人公です。日本の紙幣とは非常によくできていて、世界で最も完全な偽札が作りにくいとされています。
まあとんでもない話なのですが、日本の紙幣に対する大量のウンチク(紙質、インク、すかし、印刷方法など)も盛り込まれていて、且つ、主人公たちが完璧な計画を立てていくさまが非常に面白いです。なんと、ミツマタといわれるお札の原料の木を育てていたりもします。仲間同士の絆の話にもなったりして、アウトロー作品としては最高に面白いですね。

社会で虐げられている側からの視点の作品も混ぜていくと、より世間の理解も深まっていくことでしょう。世の中ヒーローだけではつまらないです


 ミステリーは、特に日本のものは、大量のウンチク(知識、知見)が入っているものもあって、なぜかある分野の知識がものすごく増えたりもします。また、いろんなジャンルの犯罪人が出てくるので、そういう意味でも視野は広がります。(やや偏りはありますが)

 ただ、全般的に600ページくらいのボリュームは軽くあるものが多く、面白いですが、一筋縄ではいかないものもあります。僕は月に1冊くらいは600ページ超のものを読んでいます。ただ、モチベーション的に長いものばかりだと「読んだぜ」という達成感がなく、薄い本も混ぜています。そのようなコスい工夫もして、たくさんの作品に触れていただければ幸いです。

 いつも読んでくださってありがとうございます。

このオススメ100タイトルの判断基準は、子供の「視野を広げ」「思考力を深め」「エログロナンセンスの少ないもの」といった感じになっています。ご活用いただければ幸いです。





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お問い合わせいただいたメールに返信はできていますでしょうか? 迷惑メールとして処理されてしまって届いていないということがたまにあります。僕はどんな内容でも、1週間の間に必ず返信は行いますので、1週間経ってもこない方はお手数ですがもう一度しっかりタイトルなどもいれて送っていただければと思います。問題集に載っているアドレスの方にだしていただいても構いません。


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