受験指導をしていますと、成績があがっていく生徒より、下がっていく生徒の方が多い気がします。これは統計学的にはおかしなことなのですが、不幸は幸福より3倍多い、というような「感覚」「錯覚」の問題なのでしょう。
中学受験のサピックスでは、小6開始時にAクラスだった子は、そこからあがることはほぼないと言われています。他の大手塾でも小6開始くらいに一番下のクラスだった場合、そこから上がった例を僕もほぼ見たことはありません。
サピでAクラスを4から6カ月以上連続してしまった場合は、僕は転塾も視野にいれた戦略変えを勧めることもあります。(大抵受け入れられることはありませんが)
これが一度の組み分けをたまたま大きくミスって落ちてしまい(そういうこともよくあります)、すぐにリカバリできたなら良いのですが、連続してしまうと、本当に浮上は難しくなります。
これが、例えば、サピでBクラス(下から2番目)であれば結構上がった例はあるのです。また、時期的にも小5の今くらいであれば、まだ上がれる芽はあります。
その要因としては、以下のようなものが考えられます。
①授業のレベル自体が落ちてしまう
……授業でやる問題のレベルが当然ですが、落ちてしまいます。それなのに、組み分けテストやマンスリーテストではみんな同じ問題をするのです。
であれば、難しい問題を授業でやってもらった子が有利なのは当たり前です。宿題も下位クラスは平易で標準的なものしかしませんから、そこでも差がついてしまいます。
②クラスの質が違う
……やはりこれが大きいです。下のクラスでは、思慮深い子はほぼいません。みな、どこか感覚的で快楽主義的、刹那主義的であり、ストレスに弱く、しんどいことができない子が多いです。また、授業に集中する力も低いです。
このようなクラスでは、塾講師側からの観点では、「静かにさせる」のに非常に苦労します。普通に授業するのに非常に多くの労力を使うのです。また、静かにさせるのに時間を使ってしまうので、結果として、一つの授業での問題解説数も上位クラスよりも落ちてしまいます。
サピックスの場合、ベテラン講師であれば、通常(算数で)8から10問程度の解説ができるのですが、下位クラスでは、その半分くらいのことも多いです。僕も塾でやっている時は8問が限界でした。
疲れ方も尋常じゃないのです。怒ったりなだめすかしたり、手段を講じることにも神経を使うので、倍疲れる感じです。
でも、一生懸命やっても成績は上がらないし、生徒にはやる気も見えないし、で講師側のモチベーションがどんどん下がってしまいます。
さらに、はっきりいって塾の経営的には「上位さえしっかりやって実績を出してくれればいい」側面もあるわけです。
ということで、講師側の問題で、一生懸命にやる気概もそがれてきます。そもそも、給料も同じですしね。気の抜かれた授業を受けていることに下位クラスの生徒は愚かにも気づかない、という状況もよくあります。
それでも熱意のある先生・講師に当たった場合は、やはり感謝した方が良いです。仏教でいうところの菩薩(弱き衆生を救うお役目の方)に近い方です。
上位生を動物のような子から「守る」「囲い込む」ためにも、上位クラスを作るわけです。下位クラスでも、真面目でおとなしい、精神年齢の高い子にとっては、迷惑千万な話ですが、現実として知っておいて頂きたいところです。
僕の20代のころのように、生徒に入れ込んで、「こいつらを絶対に受からせてやろう」と意気込む純粋な若者にとっては、(特に大手)塾はどんどんしんどい場所になってきます。家庭教師では、どのような成績層でも自分の生徒に対して一生懸命にでき、最善の受験をしてもらうことが当然なのですから、こちらの方がやりやすいわけです。僕は菩薩にはなり切れませんでした(笑)
消費者側としても、同じお月謝で、このようなクオリティの違う授業をされてしまうことは損なわけです。
でも、そのようにしているのは、下位クラスにいる生徒自身である面があります。上位クラスであれば、授業に関係ないことを話す子、うるさい子は、白い目でみられ浮きます。すると居づらくなって結果として、静かにもなります。
このような自浄作用めいたものに、下位クラスの子でも一人一人が自覚すれば可能なのですが、そこには気づかないし、到達するのは小学生では難しいです。まあ、今は高校生でも相当にひどいのがいます。日本全体で道徳観(感)が落ちているのは間違いないと思います。
例えば、下位クラスにいて(上位クラスのうるさい、はまたベクトルが違う)、先生側から一度でも「授業中ちょっとうるさくて……」と言われてしまった場合は、我が子がその加害者側であることが濃厚です。
先生・講師側もそういうことは言いたくはないし、自分の教務力のなさを言っているようなものですから、よっぽどのことがないと言わないのです。それが二度三度となれば、ほぼそれは確定です。
我が子がうるさい側の生徒であることを自覚したならば、それが最も自分とその周りにとって「回りまわって損」なことですから、せめておとなしく授業を受ける側に回った方がよい、将来の塾・予備校にかかるお代も含めて『お得』であることを伝えておくべきです。
小学校で最近よくある学級崩壊でも、全く同じことが言えます。無明とは恐ろしいことです。
解決策としては、「塾プラスα」を考えていくしかないです。
最下位クラスになる、ということは、そこですでに何らかの要因で、中学受験や各種受験に対する準備ができていなかったことを示します。計算力や読解力の不足などがその主な原因でしょう。4年生くらいまでは、親のフォローもある程度は要ります。
ただ、中学受験はそのような準備不足の中でも、思い直せばそこからそこそこのところに受かることは可能です。実際、サピックスでは最下位クラスでも大妻や共立や品川女子、青陵や広尾学園(今は無理かも)などそこそこの進学校には受かった例もあります。公立中に行くよりは、はるかに学力的にも良い選択ができます。
うまく塾プラスαを考えていくことで、上位クラスもうかがえますし、入試もうまくいきます。塾だけのことをやっていても厳しいという現実は知っておくべきでしょう。
プラスαの例としては、百ます計算や各種読書、漢字の総復習、小数分数計算に特化した公文的訓練、などです。塾の課題も、過去のやり残しに注視するよりは、まずは眼前のものを百パーセントやるようにしておいた方が良いです。
昨年、久しぶりにサピックスで1年ほどAクラスだった子が、最後の最後でBに上がった例があります。それは、自分から白地図などをやり始めた「意識の変化」によるものです。やはり、『意識』が変化すれば、小学生は変化も速いです。(僕は2年間同じことを、言い方を変えながらその子に言い続けていました。最後の最後かいとツッコミたくもなりますw)
言っちゃ悪いですが、最下位クラスの努力量の人間にはもったいないような良い中学に受かっています。まあ、その子なりにひたむきに(最後の数か月だけですがw)努力したのが天に届いたのでしょう。
最下位クラスに、まずはならないように基礎力をつけていただきたいです。そして、なってしまったらすぐさま反撃にでて、2ヶ月くらいで脱せるように。それが無理でもプラスαを講じて、悪あがきはしていきましょう。
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