高校3年の秋の模試が返却された時、僕の志望校判定はなんとまさかのE判定でした。
そんな馬鹿な、と思うのです。勉強の方は、気合をいれこそすれ、手を抜いている気はなかったからです。
さらに定期テストまで悪かった僕は、恩師のO先生に呼び出されました。こりゃ喝入れられるか、と覚悟して職員室に行ったのですが、先生は「どないしたんや?」という柔らかい物腰でした。逆に怖かったです(笑)
先生はおもむろに過去の卒業生のデータを引っ張りだしてきて、あるところを指差しました。そこには、東大に受かった卒業生の極秘データが記されていました。E判定のところには「2」と書かれていました。つまり、E判定でもたった2人ですが(他の点数帯には20人くらいいたりする)、受かった過去のデータがあったのです。
「お前がここに入りたいかどうかだけやないか」とまっすぐな言葉で言われました。グサっときたのを今でも強烈に覚えています。
僕は当時、かなり単純な精神構造をしていまして、「そうか!」と思い、最後まで戦いきることを誓ったのでした。その日から12時間勉強を開始し、大学合格につなげました。僕の年度では、あそこのE判定での合格者に「1」を加算することができたわけです。
あそこで呼んでくれなかったら、まあ落ちていたでしょうね。僕は先生には一生頭があがらないですね。
さて、模試が次々と返ってくる時期になりました。そしてまた次の模試へと向かっていきます。その中で、頑張っても結果がついてこない時期もあるかと思います。というより、そのような経験を一度くらいはしておくべきでしょう。挫折の経験がないと、人間、本番は弱くなるものです。
たとえば、偏差値が今40で、開成に行きたい。しかも小6。これは、おそらく不可能です。まあ、塾講師が100人いれば、全員が無理だということでしょう。甘くないことは僕ら側の人間は痛いほどに知っているからです。
その中でも良心がしっかりとある講師は、現在の状況をみるでしょう。今までかなり勉強してきていて、真面目にやってきたのにこの成績ならやはり開成に挑む天才たちには勝てません。中高6年間でじっくりと力を養成したほうが、大学は良いところへ行けるでしょう。
でも、小6から勉強を始めた場合や、今までほとんど勉強らしい勉強をしていない状態ならば? これは可能性があるのです。
僕ならば、最近の難易度が下がった開成の問題に合わせ、ケアレスミスをしないやり方を徹底して教え、比較的高得点のとりやすい理社を伸ばすだけ伸ばして、あとは国語と算数をそこそこまでとっていく、という作戦を実行するでしょう。
まあそれでも現実は厳しいものですが、その子は最後まで戦うことができ、自分の才能を今回の限られた時間の中で伸ばすだけ伸ばすことができるわけです。
もしかすると、偏差値60くらいの学校ならば受かってしまうかもしれません。ということは、あのまま偏差値40でくすぶっているのとは、全く違う人生が拓けたことになります。
このようなことが受験指導の醍醐味であり、講師側は諦めるという選択肢をとる必要がないことがわかります。とにかく、志望校に対して可能性が最も高くなるような指導を徹底していけばよいのです。
ということで、志望校を諦めるのはいつも「家庭側」である、ということを覚えておいていただきたいと思います。よく「可能性はありますか?」と聞かれますが、僕は具体的な方法を示し、「……とかいうことをやってくれれば、勝負ができるところまでは行きます」と断言するようにしています。そこまでのノウハウを断言できるところまで経験と研鑽を積んでおくのが僕の役目だとも思っています。本人の現時点の能力と可能性を考慮してアドバイスはします。
上記のように偏差値が20も30も上のところを言われると、さすがに「2日は抑えの学校入れといてね」とやんわりいいますが、やはり目指しておくべきだと思うのです。その方が、人生に後悔がありませんので。
まあその抑え校も、僕が知っているかぎりヘンな場所はおススメしないようにしておきます。とりあえず首都圏の私立校でしたら、公立中よりは絶対にマシだとも思っています。それはいつも言うように、公立中やそこの先生方のせいではなく、日本教育の『システム』の問題です。
やはり最後は仮にだめだったとしても、諦めなかった子、最後まで血涙と泥にまみれながらやり切った子とは、その後、が違います。そのような視点ももっておいて欲しいと思います。
ということで、今週もぼろぼろになるまで勉強していきましょう(鬼)
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