親目線になれる子供 | お受験ブルーズ

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現役講師がお受験を通じて世間を眺めています。
大手塾勤務→独立→プロ家庭教師と変わって来ました。(作曲・編曲、戦国シンフォニックメタルバンド「武士メタル~Allegiance Reign~」のベーシストとしても活動しています。どっちも本気です)

 中学受験の上位校では、国語で「そんな心情、小学生にわかんの?」というような文章が普通にでてきます。

 以前過去問で「卒業ホームラン」という重松清さんの短編をしました。H17の栄東の東大選抜でした。ざっとしたあらすじはこんなかんじです。

 「父親の徹夫は、息子の智の少年野球チームの監督である。徹夫は甲子園経験者で、野球に妥協がなく、下手な息子をずっと補欠として試合に出さなかった。智が小学6年生の最後の試合、大敗してしまうのだが、そこでも智は試合に出れなかった。徹夫はそのことを気に病んでいた」

 このような感じのあらすじで始まり、最後の場面で徹夫は、試合に出れなかった息子に試合の終わったグラウンドで、3球勝負をします。ここで徹夫は、全く手加減をせずにボールを投げ込むのです。
 
 そこで、設問では「なぜ徹夫はボールを力いっぱいなげたのですか」と来ます。試合に出れなかった智に、父親としては小学生最後の思い出に、打っては欲しいはずなのです。

 まずこの問題の難しい点は、小説が終始「徹夫目線」つまり「父親目線」なのです。つまり父親の気持ちを追って行かないと解けません。これが小学生にはキツイようです。

 大人であれば、ここで打って欲しいはずの息子に対して思いっきりボールを投げ込むのは、智を「一人前の男」として扱いたかったのかな、と推測はつくのです。いわゆる親心です。ゆるいボールを投げて打ったとしても、野球を真面目にやってきた智は喜ばないだろう、などとも考えられます。

 これを50から70字くらいの論述で聞いてくるのですから、なかなか鬼です。やはり小学生は、「怒っていたから」とか「ゆるい球だとタイミングがあわないから」という素っ頓狂な答えが出てきます。そのような答えは「自分本位」すぎるのです。

 子供であっても、父親の目線にこの小説を読んでいると自然になれるのです。事実そういう子もいます。そこになれるかどうか、要はこれは「思いやり」という能力の問題に他ならないのです。

 普段の生活で、先生や母親、父親の視点にたって自分ないしは世界を見つめたことがあるかどうかなのです。普段からそう心がけるのも良いですし、このような小説を読むことでわかるきっかけは作れるでしょう。だから読書は大事なのです。

 お暇があれば夏休みに「卒業ホームラン(右のウィジェットに入れておきました。参考になさってください)」を読んでみるのもよいかもしれませんよ。

 いつも読んでくださってありがとうございます。



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