トルコ式ベビー生後40日の儀式 | スパイシーdays

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以前の記事ではベビーが生まれてすぐに行う「イスラム式ベビー誕生の儀式」クリックをご紹介しましたが、今回はたぶんイスラム圏一般に共通ではないトルコ独自(たぶん)の儀式について。

 

 

トルコでは、生後40日が赤ちゃんにとって最初の節目で、この日までは一歩も外に出ず家にいるのですが、40日に儀式を行ってからは外出できることになります。

 

ちなみに40日間 外出しないというのはトルクメニスタンでも、ウイグルでも同じだそうで、テュルク系民族に共通の習慣なのかもしれません。(トルクメニスタンではお嫁さんも嫁いでから40日間婚礼の衣装を着たまま親戚を回るので、ここでも40という数字が大事です)

 

 

 

 

で、その40日に行う儀式のことをクルクラマ(kırklama)といいます。

40という意味のクルク(kırk)から来ています。

 

儀式の一つは特別な沐浴。

 

トルコの義母から「今日、孫娘ちゃんが生まれてから40日目よね?」と電話がかかってきて、沐浴のやり方を伝授されました。

 

その方法は:

 

1)お玉かスプーンなどで40回お湯をすくって小さな容器に移す。すくう際に毎回「ビスミッラー(アッラーの御名において)」と言う

2)その容器に指輪などの金属を投げ入れる

3)赤ちゃんをお風呂に入れ、頭から爪の先まで全身キレイにする

4)容器に入れておいた2)のお湯を、赤ちゃんの全身にかける

 

母親もその前後に全身をキレイに洗って、イスラームで言うところのグスル(大沐浴)をしておかなければいけません。

 

注)うちの子ではありません。洗ってる最中は大騒ぎで写真なんか撮れんつーの。。。

 

 

このやり方には地域差があるようですし、義母は私が負担なくできるように簡略バージョンを教えたのかも?しれませんが、調べてみると沐浴の方法、もっと色々あるみたい。

 

20日目(40の半分)でもカンタンな沐浴の儀式をするとか。

 

容器には40個の石を入れるけれど、その1つずつにつきクルアーンの純正章を詠み、フッと息を吹きかけてから入れるとか。

水は、卵の殻で(!)40回すくい入れ、水の中にさらに40枚のオリーブの葉、コイン、銀または金の指輪、ナザールボンジュウナザルも入れるとか。

 

他にも、赤ちゃんをお風呂に入れるのに特別な女性を呼んで、その人が赤ちゃんの足をつかんで頭から逆さまに(!)水に浸けるとか。

 

なにやら色々な方法が紹介されていました。

 

 

 

とにもかくにも、全身がキレイになったら、一番良い服または新しいキレイな服を着せます。

ここまでが、kırk yıkaması / kırk banyosu(40日の沐浴)と言われる儀式。

 

 

そして、うちはやらなかったけど、儀式はさらにこの先があります。

 

キレイになった赤ちゃんは「はじめてのお使いお出かけ」として、知人か親戚の家に遊びに行かなくてはいけないのですが、訪問先はなるべく遠くの、なるべくお金持ちで、(高さの)高い場所に住んでいる、健康で幸せな家庭が良いのだとか。

(遠ければ遠いほど赤ちゃんの声が美しくなるとか、豊かな家庭だと赤ちゃんも同じようになるとかの意味があるらしい)

 

赤ちゃんの生まれて初めての訪問先に選ばれるのは光栄なことなので、その家の主人はホストとして御馳走を用意して待っています。

 

このお出かけは、kırk çıkarma / kırk uçurma (40日の外出)と呼ばれます。

 

そして、ホストから赤ちゃんには、次のような贈物のうちどれかをおくるのが習慣なのですが、それぞれに願いをこめた意味があります。

 

・小麦粉…小麦粉のように白い白髪の生えたお年寄りになるくらい長生きするように

・卵…健康/豊かになるように

・パン…糧に恵まれるように

・米…豊かになるように

・砂糖…美しい声/人になるように

・ハンカチ…清らかな人になるように

・糸…長生き、健康でいられるように

・鏡…将来が光り輝くものであるように

・コイン…お金に困らないように

 

 

 

上にも書いたように、うちの娘は40日目にどこかのお宅へ出かけることは無かったのですが(日本的には初めての外出は家の周りを数分散歩とか、赤ちゃんに負担の無いように短い時間しか出かけないし…)、先日(生後3ヶ月すぎ)トルコ人の友人宅に遊びに行ったら、「まだkırk çıkarmaのプレゼントを貰ってないでしょう?」と言われて、これを頂きました!

 

    

 

玉ねぎ、綿、角砂糖、卵が入っていました。

 

玉ねぎは病気にならないように、綿は白髪になるまで長生きできるように、卵はきれいな肌になるように、との意味を込めてだそうです。

 

これで娘もイスラーム式&トルコ式の儀式を一応行えたかな、という気分になりました。

(日本式のはというと、お宮参りはさすがにしませんが、お食い初めはやりました!)

 

 

実は、クルクラマの他にも40日経つと親戚知人を集めて赤ちゃんのためにクルアーンを詠み、皆で祈るメヴリッドという儀式もあります。

 

ご馳走を用意して可愛いグッズ(↓)をプレゼントに配ったり、ちょっとしたパーティのようにするのですが、それはトルコの義実家に帰った時にやる予定。40日どころでなく大きくなってからになってしまうでしょうが、その時はまたブログでご報告しますね!