先日、ふらっとペラ美術館Pera Müzesiに行ってきました。
昔から領事館が集まり、外国人が暮らした洋風な邸宅が並ぶペラ地区、美術館の建物自体も19世紀に建てられたもの。
私の目的は、ここに展示されているオスマン・ハムディ・ベイの一番有名な作品『亀の調教師 Kaplumbağ Terbiyecisi』!
オスマン・ハムディ・ベイは、オスマン帝国末期のオリエンタリスト画家で、私はにわかファンなのです。
この『亀の調教師』は、オークションで高額の競り合いになったことから、トルコ国内で一気に知名度が上がりました。
お土産屋なんかでも、この絵をプリントした商品がやたらと出回ってます。
市街のギュルハーネ公園には、こんな(↓)絵画の中の人物になりきれちゃうセットまであって、モチロンなりきってきたし
しかし、実物がこんな大きな絵だったとは知らなかったので、びっくりでした。
警備員に怪しまれるくらい、じーーーーーーーーーーーーーっくりと鑑賞させてもらいました。
他にも数点、『2人の女奏者 İki Müzisyen Kız』↓など、彼の絵画があったのですが、サイズは小さめ。
この絵画、私が以前読了したトルコの古典小説『sergüzeşt』の表紙にもあしらわれていましたが、私。。。これは絵画を人間で再現した写真だと思ってたんですが、
実は、実際の絵画が、写真と見間違えるほどめちゃめちゃ緻密に写実的に描かれているので、本当に驚きました。
もちろん絵の良し悪しは写実的かどうかで決まるわけじゃないですが、それにしても!というレベル。
オスマン・ハムディ・ベイの絵はそのくらいでしたが、その次の部屋では、駐オスマン帝国のヨーロッパ大使が連れてきた画家たちの作品が展示されていて…これ私的にはかなり面白かった💕
18世紀ごろのイスタンブル。そんな変わらないような気もするけど、ビルとかないからもっとキレイ。今住んでる街の昔の姿とか見るの、すごい好きです。
角の方にはカフェなのか?市民の生活が描かれてて、興味深い。どういう身分なのかわかりませんが、かなり自由な感じ。
セリム3世に謁見するヨーロッパのどこかの大使。(1725年ごろ)
だけどよく見ると、大使以外のヨーロッパ人たち、なぜか全員オスマン側の大臣?2人に、羽交い締めのように両腕を抱き込まれてて異様
防犯上の慣例だったのか?
にしてもなんだか、オッさん同士が密着して腕組んでて可笑しい…
次のもちょっと「オイオイ」と突っ込みたくなる絵で、1人ニヤニヤしました。(←)
さっきの大使が謁見の間まで、トプカプ宮殿の中庭を移動しているシーンですが、
背後にいる大量のイェニチェリは何⁉️穏やかじゃないぞ
イェニチェリ=主にクリスチャンの姉弟を回収させ英才教育を授けたオスマン朝の精鋭部隊
…と、思ったら、このイェニチェリたち、床のお皿を拾うのに必死です。えっこれ、もしや、チャナック・ヤーマスçanak yağmasıかい?しかしなぜこのタイミングで?
チャナック・ヤーマス=イェニチェリの給料日に蓋つきの盆で食事が支給されること。満足に食べれば給料に不満がないことの表明になった
…と思ったら、なんと!スルタンの権威を見せつけるために、あえて大使に謁見の日をイェニチェリの給料日に合わせてたんですって。ほぇ〜おもしろぉ〜い
しっかし、むくつけき男たちが床に置かれたお皿を奪い合うように取る図って、ヨーロッパ人の目にはかなり奇異に映ったんじゃないのかなー。
そして、私が見たいなと思っていた絵が、なんとここにありました。
謁見の後、大使一向をもてなした宴会ですが、
Theトルコ式な、大きな銀盆でできた低い丸テーブルで、肩を寄せながら食べているのがわかりますでしょうか。
大使発見⇧。椅子もあんまり楽じゃなさそうな…
こういうやつですね。
18世紀といえば、政治的にも文化的にも少しずつヨーロッパの影響が強くなってたはずですが、こういう場面ではあくまでこちら側のスタイルを貫いたとはカッコいいです👍
これは、トルコの服装を着て肖像画を描いてもらった、フランス人大使夫婦。
オスマン家にも一般トルコ人にもコーカソイドがめちゃめちゃ混血してるけど、やぱり完全なる西欧人にはこの格好、浮きますね。着物着たガイジン感。
みなさんコスプレ好きですね。今でいうコレですね。
観光地でよく見かけるこの店、Phottomanというネーミングがたまらないぜ
下のフロアにあった、コーヒーカップの展示、なんだかセンス良かった。
下に敷き詰められているのはコーヒー豆
20世紀初頭の、オスマン帝国の工業学校の学生が作ったタイルのデザイン案。宿題だったそうです。
それと同じ学生の持ち物だった三角定規📐。こんなステキな文房具、今でも作って売って欲しい!
そんな感じで、オスマン・ハムディ・ベイ以外の展示も、私にはとーーーーーーーっても楽しく、勉強になる美術館で、大満足でした
しかもこの美術館、一つ一つの展示物にしっかりと説明がついていて、さらなる詳細はQRコードでwiki Artに飛べるようになっていて…、トルコとは思えないきめ細やかさにとても好感が持てました。
トルコの多くの博物館・美術館、キャプションがタイトルと年代くらいしかなくて、見ながら浮かんだ「なんで?」とかに全然答えてくれないんです…
オスマン朝時代がお好きな方はぜひ。