◆川戸貴史『商人の戦国時代』を読み解く


★要旨


・中世の日本において、
瀬戸内海海運が経済的に非常に重要であった。


・中世の瀬戸内海は、
海運の要衝として栄える一方、海賊による略奪行為が横行した。
彼らは金銭で手懐けておけば、水先案内人の役割を担った。


・瀬戸内海には、
各地でそれぞれ拠点とするいくつかの海賊集団が盤踞ばんきょしていたが、
それぞれには縄張りがあったようで、
金銭で手懐けておけば賊船からの襲撃を免れることができるようになっていた。

 
・また島が多く潮も速い蒲刈周辺は適切な航路を採ることが容易ではないため、
通過する船舶にとっても、
安全な航路を知る地元の海賊衆を乗船させることにメリットもあった。


・毛利家は、瀬戸内海の制海権を握っていた。


・このような海賊衆はそれぞれの地域を拠点として集団で活動していたとみられるが、
常に船舶を襲撃することだけを生業としていたわけではなく、
漁業のほかに彼ら自らも廻船に関わっていたと考えられている。


・16世紀半ばになると戦国大名の指揮下に入り、
集団として海上から軍事活動に従事する「水軍」のような存在となる海賊衆が目立つようになった。

 
・瀬戸内海におけるそのような「海の領主」といえば真っ先に思いつくのは、
「村上海賊」などと呼ばれる村上氏の一族であろう。


・因島村上氏は瀬戸内海周辺海域で影響力を拡大した大内氏の庇護下となり、
「海の領主」として大内氏の海上における軍事力を支える存在となった。


★コメント
どこの国でも、
海賊の歴史は面白い。