◆渡辺惣樹『第二次大戦・独裁者の狡猾』を読み解く
★要旨
・本書は1919年から1940年までを扱う。
そのほとんどが所謂「戦間期」と呼ばれる期間である。
ベルサイユ条約が生んだいびつな世界が崩壊していくおよそ20年間である。
・ザラ・スタイナーの
『消えた光』は1200頁を超え、『闇の勝利』も1000頁近くもある。
・要するに戦間期の歴史は最低でも2200頁もの記述を要するほどに濃密であって、
それを理解してようやく
1939年9月1日のヒトラーによるポーランド侵攻がわかるのである。
・戦間期は、民族問題は当事国で解決してくれという態度が正しかった。
しかし、そうはならなかった。
米英仏独伊やソビエトの思惑が、
本来は二国間で解決できる問題を複雑化させ、多国間紛争に悪化させた。
・大国の思惑だけではない。
紛争当事国の力の弱い側、つまり「小国」が、
本来は無関係の大国を引きずり込んで「小戦」を「大戦」にした。
・ヨーロッパは強欲で愚かな国の集合体である。
だからこそ第一次大戦も第二次大戦もヨーロッパで起きた。
・米国の建国の父たちは、「ヨーロッパのもめ事には関わるな」と後世に警告した。
彼らは、魑魅魍魎のヨーロッパ世界を知っていた。
・その教えに背き、ウッドロウ・ウィルソン大統領がヨーロッパの戦いに介入した。
・戦間期は、ウィルソンの間違いを米国民が悔いていた時期でもあった。
・国民の真摯な反省を、
フランクリン・ルーズベルト大統領とウィンストン・チャーチル首相が粉砕した。
・戦間期は、偽りの安定(ベルサイユ体制)が、
ゆっくりとそして最後には音を立てて崩壊するまでの20年であった。
・そのような時代にあって、な
んとか安定を維持しようとした政治家や外交官もいた。
時代のうねりの中で敗れたとはいえ、彼らの苦悩もまた理解したい。
★コメント
歴史を多角的に見ると、面白い。