◆土屋大洋『海底の覇権争奪。知られざる海底ケーブルの地政学』を読む


★要旨


・かつては、人工衛星も画期的な国際通信の手段だった。


・ところが、1980年代に光ファイバーによる海底ケーブルが敷設されるようになると、国際通信の主役は海底ケーブルへと戻った。


・現在の国際電話にはそれほど遅延が生じないし、大洋をまたいでZoomのようなリアルタイム・ビデオ通話を使ってもそれほど支障はない。
光海底ケーブルはグローバリゼーションに不可欠の技術である。


・現代の島にとっては、
海底ケーブルは発展のために不可欠の基盤になりつつある。
それは、島国日本にとっても同じである。


・日本のの海底ケーブルは、関東だと千葉県や茨城県、
関西だと三重県あたりに集中して陸揚げされ、
米国やアジア諸国、ロシアとつながっている。


・今では、北海道からカナダ沿岸の北極海を通って英国のロンドンまでつなげようという話も出ている。


・こうした光海底ケーブルがもし失われることになれば、
グローバル市場のなかでの東京市場の地位は失われ、日本経済に多大な影響が出るだろう。


・海底ケーブルは、
いわゆる重要インフラストラクチャの一部である。


・ほとんどの重要インフラストラクチャは、電気や水道、
公共交通機関のようにあって当たり前で、その意義は普段は忘れられている。
しかし、それが失われる可能性は、ゼロではない。


・その仕組みを理解し、非常時のための対策を考えておくことは、
国家安全保障においても、個人の生活防衛のためにも重要だろう。


★コメント
普段、目立たない海底ケーブルに注目しよう。
安全保障の肝である。