◆佐藤大介『韓国・国家情報院。巨大インテリジェンス組織と権力』を読む
★要旨
・相手が隠そうとしている秘密を盗み出すと同時に、
相手が見つけようとしているこちらの秘密を徹底的に隠すゲームをするのが、
国家情報機関の役割でもある。
・そのため、組織や活動などに関わる情報は秘密とされ、一般国民からのアクセスは制限されている。
韓国の国家情報機関である国情院も、そうした色彩を帯びた組織だ。
・韓国エンタメではおなじみの存在
「コクジョウイン」という単語を聞いて、
「国家情報院」を連想する日本人がいれば、よほどの韓国マニアかスパイ映画のファンだろう。
・韓国の国家情報機関である「国家情報院」は、一般に「国情院」と略され、
日本の情報機関など関係者の間では「コクジョウ」と呼ばれることも多い。
・一方で、韓国の人にとって「国情院」を意味する
「クッジョンウォン」という言葉は広く知られている。
・韓国で人々の関心を集める国情院だが、
同時に情報機関としてその存在の詳細は秘密のベールに包まれている。
・韓国が他国との戦争に巻き込まれたり、内戦状態になったりすることを防ぐ。
そして、独裁国家にならないようにする。
つまりは、北朝鮮という「敵国」の脅威や浸透を韓国から排除する。
それが自分たちの任務であると言うために、
彼はわたしに、カンボジアやアフリカ、北朝鮮の画像を見せたのだった。
・国情院の職員は、韓国の安全を守ることを最優先にしている。
そう男性は言いたかったのだろう。
確かに、そうした面は十分にある。
そのために、国情院は国内外で膨大な情報を収集し、蓄積してきた。
・情報機関の動きはドラマ性もあり、
韓国ではこれまで多くの映画やドラマのテーマにもなってきた。
その代表作とも言える作品が、1999年に韓国で製作された映画『シュリ』だろう。
・韓国にとって国家情報機関の歴史は「暗黒の歴史」でもある。
・国情院と、その前身である過去の韓国の情報機関は、
本来の任務に忠実であることよりも、
政権の安定化と政治介入に熱心だという批判を受け続けてきた。
・軍事独裁から民主化を経て名称や役割を変えてきたが、
その活動の多くが秘密のベールに包まれているという点はいまだ変わらない。
★コメント
隣国の情報機関が、どのように活動しているのか。
我々としても、参考になる点は多い。