◆江崎道朗『DIMEの力』を読み解く


タイトル
→「なぜこれを知らないと日本の未来が見抜けないのか」

→「政治と経済をつなげて読み解くDIMEの力」


★要旨


・みなが直面する国際政治とビジネスの難問を
読み解くことができるキーワードがある。

「DIME(ダイム)」という言葉だ。


・これは英語の、外交、インテリジェンス、軍事、経済の
4つの頭文字を組み合わせたものである。


・歴史を振り返れば、
外交交渉だけでは、紛争が回避できなかったケースは
山のようにある。


・そうした歴史に学び、国際社会、
とくにアメリカや中国は、外交や軍事だけでなく、
経済・貿易、そしてインテリジェンスを組み合わせて
国家安全保障戦略を策定し、
懸命に自国の国益、自国の国民と企業を守ろうとしているのだ。


・国家戦略とうまく紐づけられるかどうかが、
情報活動の成否を決める。


・我が国の過去、近現代史を謙虚に学べば、
針路は自ずと見えてくるはずだ。
事実、過去の歴史を振り返れば「DIME」のいずれをとっても、
日本は決して世界に引けをとらない。


・陸軍中野学校のOBである、末次一郎先生は、民間人の立場で戦後政治を動かした。


・末次先生は、独自の人脈を駆使して米ソ日の要人を集め、
三ヶ国協議などを行った。
目標の北方領土の返還は実現できていないが、
たんに対立するのではなく、
策を尽くせば、話し合いの場をもてる、
ということを示した意味合いは大きい。


・末次先生がこうして政府要人同士の会談にこだわったのは、
戦前の反省によるものだ。
インテリジェンスの現場がどれほど優秀でも、
中枢がそれを理解しなければ意味がない。


・トップの戦略に基づいて現場が細かい戦術を駆使し、
その成果をトップの戦略に昇華させるという循環ができて初めて、
大きな問題を動かせる。
末次先生はそのことを熟知されていたし、
当時の自民党の政治家や財界人もそれを理解して
末次先生の民間活動を応援していた。


・末次先生のお話は、いまでも強烈な印象に残っている。

「結局、ソ連もアメリカも、お互いのことをよく知らない。
日本のことも、よく知らないんですよ」


だから率直に、面と向かって話し合わなければならないという。
ただちに問題の解決には向かわなくても、
そうしたチャンネルをもっておくことが重要なのだ。


★コメント
何回も読めば読むほど、江崎さんの本は学びがある。
スルメのようにじわじわ効いてくる。
新しい発見がある。