◆玉木俊明『物流は世界史をどう変えたか』を読み解く
★要旨
・レコンキスタ(国土回復運動)が行われ、
イベリア半島から徐々にイスラム教徒が追い出された。
・レコンキスタが完了し、
スペインが統一された1492年は同時に、
ユダヤ教徒がイベリア半島から追放された年でもあった。
このとき追放されたユダヤ人のことを
「セファルディム」と呼ぶ。
・セファルディムは、
サトウキビの製法をカリブ海に伝え、
ヒンドゥー教徒からダイヤモンドを輸入し、
地中海からサンゴを輸出するなど
世界史上きわめて重要な役割を果たした。
・1654年に、カリブ海のオランダ領植民地で
サトウキビが生産されるようになった。
・この植民地でオランダ人プランターが奴隷を使役して、
サトウキビ栽培をおこなったとされるが、
実際にサトウキビ栽培に大きな役割を果たしたのは、
セファルディムであったようだ。
・セファルディムは、
ダイヤモンドの世界市場での取引に必要ないくつかの
要素を兼ね備えていた。
・秘密を厳守し、高い水準で協力し接近し、
統合し、情報に接近した。
長距離貿易で長期の信用を提供し、
貿易形態の地理的変化に対応することができた。
・セファルディムは、
ダイヤモンド産業をコントロールし、
拡大していた東欧系のユダヤ人である、
アシュケナージの避難民を雇用した。
・密輸品はブラックマーケットに流れるが、
ブラックマーケットにおいても需要と供給の法則に
従うことは変わらない。
・アメリカ合衆国の成長に、西部開拓が貢献したといわれる。
同時に、アメリカは18世紀末に
イギリスに次ぐ世界第2位の船舶数を誇る海運国家となっていた。
・アメリカ大陸には、大量の海運資材があり、
造船業の発展は容易であった。
・イギリスは、
世界物流の支配者であったため、
パクス・ブリタニカをなすことができた。
・オランダによって、イギリスは海運業を支配し
物流をコントロールすることの重要性に気づいた。
・イギリスは「世界の工場」ではなく、
「世界の輸送業者」であった。
★コメント
21世紀でも、海運と物流の大切さを意識したい。