◆荒俣宏『王様の勉強法』を読み解く



★要旨


・頭から全部丸かじりという大蛇のような勉強で、見えてくる世界がある。
百科事典をア行から順番に読むのは、バカだ、という人がいる。

しかし、ア行からずっと読むことが、その人にとっては一番いいときもある。

南方熊楠がそう。
彼はぶち当たるもの全部が面白いから、たとえば事典を引いて、
オーストラリアの動物「コアラ」を知りたいということきも、ダイレクトに「コアラ」を引かない。

まずオーストラリア大陸の成り立ち、民族の歴史、イギリスの植民地時代のこと、
オーストラリア先住民の言語や民話、そして自然環境といったことを調べながら、「コアラ」までたどり着く。



・板書を写す快感がある。
黒板から、模写癖を刺激するフェロモンが出ている。
写経にも快感がある。


・難しい漢字は、セクシーだ。
漢字の書き取りもまた、模写であり、写経だ。
悪魔の文字と呼ばれる難しい漢字を学ぶ中国人や日本人は、漢字に快感を感じている。


・個性やオリジナリティーは、模写の失敗から生まれる。


・旧制高校は、役に立たないことを重んじてきた。
専門で勉強しているたちのうち3人残ればいい。


・現世利益を超越すると、大富豪になる。


・エジソンの最大の発明は、「発明法」だ。
勉強の伝達方法が見につけば、応用力がアップする。


・男は、無意味な繰り返しにダンディズムを感じる。


・知の猛者に出会うことが、学びの武者修行になる。


・脇道にそれたときのドキドキが学問だ。


・思考のしりとりをすることで発想力が鍛えられる。


・どうすればマニュアルを超えられるか。
間違いをたくさん起こしてみること。
マニュアルに想定外のことをたくさんやると、それが独自の体験として積み重さなる。


・大宅壮一さんは原稿を書くとき、訂正をしない。
下書きをしないで書いていくうちに、次の考えが浮かぶと、
「という考えもある」「という見方をする人もいる」と持っていく。



・下書きがもっとも強い清書になる。

・情報化社会では、回り道を行くことが近道になる。


・骨組みを理解すると、量をこなせる。
博覧強記になっていくためには、アウトプットと同時に、インプットも、たくさんなければならない。


・荒俣式読書は、始めに地図のように全体を頭に入れる。


・細かい話の前に、まず大枠を知る。
イベントの打ち合わせで、最初から細かい話になる場合がある。

しかし、私は「全体は何時から何時まで。そこで何と何と何をするのか」という大枠から聞きたい。



※コメント

シェイクスピアも、本筋の話より、脇道のほうが面白い。
これは、往々にしてあることだ。
学校の授業も、先生の雑談が面白く、またそのことのほうがよく覚えているものだ。
そして、それが意外と社会に出たときに役に立つ。