◆江崎道朗『国力研究。列島を強く豊かに』を読み解く 

(インテリジェンスをいかに強化していくか) 


 高市早苗さん編。 


 本書は、高市さんの勉強会で
各テーマのスペシャリストが講演された話を 

編集したもの。 

兼原信克、本田悦朗、若田部昌澄、垂秀夫さんたちの
講演録が掲載されている。 


 今回は、江崎さんの
「インテリジェンスをいかに強化していくか」 

の内容をご紹介。 


 ★要旨 


 ・インテリジェンスとは、 

国家の指導者による日々の安全保障政策の立案を支える活動なり。 


 ・国家安全保障政策には4つの要素があり、
DIME(ダイム)という。 

ディプロマシー(外交) 

インテリジェンス、 

ミリタリー(軍事)、 

エコノミー(経済)である。 


 ・ディプロマシーは、
誰を味方にし、誰を中立に置くか。 


 インテリジェンスは、 

敵だけではなく味方の内情も徹底的に分析して
味方を強くしていく。 


 ミリタリーは、 

敵が攻撃しにくくなるように抑止力を高める。 


 エコノミーは、経済力を高めていく。 


 ・経済力あっての、軍事力である。


 ・戦後日本のインテリジェンスについて、
基本的な流れを説明する。 

敗戦後、 

情報機関としての内閣情報局、
陸海軍の情報組織は、

すべて解体された。 


 ・解体後、中華人民共和国の建国と朝鮮戦争を受け、 

吉田茂総理が、1952年に、 

内閣総理大臣官房調査室を設置した。 


 ・1952年、
吉田茂政権下で、

緒方竹虎官房長官が、 

日本版CIAを作ろうとする。 

ただ残念ながら緒方は急逝して、
この動きは頓挫する。


 ・じつは米英の対外情報収集の主流は、 

通信傍受を利用した諜報活動、シギントである。 


 ・官邸はいま、 

各情報機関に対して何を要求すればいいのか。 

喫緊の課題は、以下の2つである。 


 第一に、台湾有事の事態認定のため、 

アメリカ、台湾との「公的な」情報共有体制の構築を早く拡充せよ、 

という指示を出す必要がある。



 ・第二に、
アメリカの核戦略に関する情報収集と分析、 

我が国の核抑止戦略に関する政策立案の要求が必要になる。 



 ・インテリジェンスに関する素養がなく、
機密をいとも簡単に漏らしてしまう政治家の存在は、 

同盟国・同志国からの不信、侮蔑を招いていることを
深刻に受け止めるべき。



 ・しかも秘密保全意識が弱い政治家の存在は、 

日本の情報部門の人たちの士気も失わせることになり、 

ある意味、有事・複合事態に対処するに際して
最大の障害になりかねない。 



 ・シギント情報だけでは、 

たとえば台湾で紛争が起こったとき、
それが本当に台湾侵攻なのか、 

それとも人民解放軍の一部の人間の動きなのか
わからない。 


 → 

そのため、中南海のヒューミント情報が必要になってくる。 

そのヒューミント情報においては
台湾側は圧倒的な力を持っている。 

ヒューミントとシギントは、両方必要である。 

ただしメインは、シギント情報である。 



 ★コメント 

諜報関係のテーマは、奥が深い。
しっかり学びたい。