◆乾正人『政治家は悪党くらいがちょうどいい』を読み解く
★要旨
・小泉進次郎を「悪党」だと感じている有権者はまずいまい。
・まさに順風満帆を絵にかいたような政治家人生だが、
期待されて起用された環境大臣時代に
馬脚を露わすことになってしまった。
・彼の大臣としての発言が、
現実離れしていたり、
揚げ足をとられぬよう同じ言い回しを繰り返したりして、
「進次郎構文」と揶揄されたのである。
・新型コロナ禍のとき、
反省答弁を行ったが
落語の寿限無のような語り口であり、
巧みに謝罪を回避しているのも
なかなかの腕前である。
・進次郎は、
リーダーシップにしても酸いも甘いも
かみ分けた「悪党政治家」よりは、
どうしても落ちる。
・そんなナイナイ尽くしの進次郎に、
他の政治家と比べて格段に優れているのが、
父親から遺伝したとしか考えられぬ大衆を魅了する力だ。
・総理大臣の椅子を意識し始めた彼は最近、憲法改正問題に熱心に取り組み始めている。
父にとっての郵政民営化が、
息子にとっての憲法改正なのである。
・筆者は、なぜいま憲法改正なのか、と進次郎に問い、
安倍さんも岸田さんも憲法改正を「やるやる」と言いながらできなかったのではないか、と混ぜ返すと、
進次郎は、こう反論した。
・「安倍さんも岸田さんも憲法改正に並々ならぬ熱意があった。
だが、一度も憲法改正に関する国民投票が
実施されていないのは、
最初の国民投票で否決されるのを恐れたからではないか。
初回は否決されるのは織り込み済みで、
二回目以降で決着をつける戦術をとらないと、
いつまで経っても改正なんてできない」
これは一本とられた。
・憲法改正に熱心に取り組んだ安倍晋三も岸田文雄も結局、
国民投票実施のはるか手前で断念してしまった。
・進次郎は、
とにもかくにもまずは、
国民投票の実施までもっていこうというのだ。
→
しかも国民投票一回目の失敗は織り込み済み、
というのだからリアリティもある。
・良い意味での「悪党政治家」に進次郎が脱皮するには、
まだまだ時間がかかる。
だが、彼の政治的成長を待てるほどこの国に余裕はないのだ。
★コメント
面白い論理構成なり。
ふたたび読み直したい