◆江崎道朗『シギント。最強のインテリジェンス』を読み解く
茂田忠良さんとの共著。
(元・内閣衛星情報センター次長。警察官僚出身)
★要旨
・アメリカと日本との違いは、どこにあるのか。
その違いの一つが、
「シギント」(信号諜報)に関するインテリジェンスの扱いだ。
・本書の内容は、
政治指導者、外交・防衛の担当者、スパイ・テロ対策の担当者には
必須の基礎知識である。
・シギントを知らずに、インテリジェンスを知っているとは言えない。
・戦争には、
ターゲティングなどの「目の前の情報」だけではなく、
「多層の情報」が必要だ。
・旧大英帝国の領土にまたがっているコモンウェルス、
イギリス連邦の存在は大きい。
通信情報を取るにしても、
あちこちに拠点を置かないと取れない。
・だからイギリス、カナダ、オーストラリア、
ニュージーランドに情報収集を協力してもらって、
その代わりにその情報をそれらの国とも共有している。
・イギリスは、情報力があるといわれるが、
その根源は何かと言えば、
ファイブ・アイズの同盟関係だ。
この同盟関係のおかげで、
アメリカのシステムからも情報が入手できる、
という絶大なメリットがある。
・イギリスこそ、インテリジェンスの本家なり。
・戦後、自民党が創設された際に、
憲法改正を党是にしたことはよく知られているが、
じつは、もう一つ、隠れた党是があった。
それが「日英同盟の復活」である。
・僕もむかしはなぜ自民党が
そこまで日英同盟の復活にこだわっていたのが、
よく分からなかった。
→
だが、中西輝政先生の研究会で、
「イギリスこそが、学問的な分野も含めて
インテリジェンスの本家であり、
アメリカはその分家だ」
→
「アメリカは、マンパワーとカネをつぎ込んで
凄まじいインテリジェンスのシステムを作る。
だが、インテリジェンスの基本的な発想や、
コンセプトに関しては、
やはりイギリスが本家なんだ」
と教えていただいた。
・政府高官が宿泊できるようなホテルは、限られている。
・通信記録から、会議のキーマンをあぶり出す。
・法律になくても対外諜報は「やるのが当たり前」である。
・日本は、まず政治が、
インテリジェンスの理解を深めなければならない。
・人間は、移動中の車内で本音を漏らす。
・民間企業を守ることこそが、国益に繋がる。
★コメント
あらためて、
国際社会の情報戦のすさまじさを知った。
原点に戻って、学びなおしたい。
そして行動したい。