◆岩尾俊兵『世界は経営でできている』を読み解く
★要旨
・一時期に権勢を誇った王国や文明は
軍事力と経済力の両方をみずから手放す。
その結果として、
常日頃から存在していた危機に対処できなくなり、
国家は崩壊するのだ。
・国家が崩壊するときの悲喜劇は
世界中で同じである。
・特定の王国や文明が稚拙な国家経営によって弱体化したとき、
まるで狙ったかのように危機
(異民族の侵略、大災害と飢饉、内乱と革命などなど)
がやってくる。
これは当たり前の話である。
・常に危機は存在していて、
政権が弱体化しないと危機は危機にならないだけだ。
・弱体化した末期症状の政権は、
さまざまな危機に対する無為無策無能ぶりをさらけ出す。
・たとえば、歴史のある時代、ある場所では、
ラテン語をマスターした人、聖書に通じた人、
四書五経を丸暗記した人、
字の綺麗な人、
詩作が上手い人などが、
当代最高のエリートとして処遇された。
・たとえば一般には
海の民と呼ばれる集団によって滅ぼされたとされる古代エジプト王朝は、
実際には滅亡までに何度も海の民を撃退していた。
・中国の漢王朝も黄巾の乱によって勢力を大きく削られるまで、
何度も似たような人民蜂起を鎮めてきた。
・政権や王朝は常に危機に対峙しているのである。
・本来は「人民を幸せにする」という
約束を果たすために権限を委任されていたにすぎない政治権力は、
まるで「特権階級だけが人民だ」と定義しているかのような行動に出る。
特権階級の権利・権限は
拡大し市民の権利・権限は極限まで縮小される。
・古今東西どんな国家でも
官吏は増税を大使命だと勘違いしているかのように振る舞う。
・本当の意味で政権や王朝を弱体化させる原因は
国家経営の失敗である。
すなわち経営の巧拙こそが歴史を動かす。
★コメント
経営と歴史は、密接に繋がっている。
学びたい。