◆猫組長『シン地政学。正義なき世界を動かす』を読む(その2)



副題→「マネー、オイル、暴力の新方程式」




★要旨



・「戦時経済」では「暴力」が勝敗を決定する。

しかも勝負は、資源エネルギーなどの戦略物資をめぐって行われる。



・結論から言えば、

環境政策は、アメリカ民主党の「利権」にすぎない。

そして環境政策を民主党の利権にした中心人物こそが、

クリントン政権で副大統領をつとめた、アル・ゴアである。



・石油産業では、

原油の探鉱、開発、生産までの原油の開発段階を

「上流」(アップストリーム)と呼び、

精製、販売、輸送などを「下流」(ダウンストリーム)と呼ぶ。



・バイデン政権によってもたらされた、

エネルギーを取り巻く環境の変化を

「領土拡大のビックチャンス」と受け取った国がある。

それこそが、

資源・エネルギーの輸出大国ロシアだ。



・ロシアを支配した「黒い三権」の正体。



・ソ連崩壊後のロシアは、

3つの権力によって支配されていた。

第一の権力が、政治だ。

ロシアの場合、

特殊部隊や秘密警察などを傘下に持つ、

諜報機関の「強大な暴力」の行使権が

政治権力を支えている。



・第二の権力が、オリガルヒ(新興財閥)だ。

腐敗したソ連の内部に蠢いていた官僚や、

諜報機関の関係者が、

国家崩壊時の混乱のなかで、

資源エネルギー企業などの巨大国営企業を

二束三文で買い叩き私有化したのだ。



・そして、第三の権力が、ロシアン・マフィアだ。

新興財閥と結託しながら、

資源エネルギーなどを世界で販売するロシアンマフィアは、

ロシア語で「ヴォール・ヴ・ザコーネ」(規律ある泥棒)

と呼ばれる「黒いビジネスマン」である。



・ロシアン・マフィアは、

ソ連崩壊と前後する混乱のなかで、大きく勢力を伸ばした。

崩壊直前には、闇物資の密輸を通じて、

官僚や諜報機関とのコネクションを築く。



・さらに、崩壊と前後して、

「マネーロンダリング」で暗躍した。

じつに250億ドル(約3兆円・当時)もの「黒いマネー」が

ロシアから海外へと流れ出た。



・資金洗浄に利用されたのは、

スイスやリヒテンシュタイン、キプロスといった、

金融立国の銀行だ。



★コメント

学者さんや一般のジャーナリストからは、

逆立ちしても出てこない貴重で面白い情報満載だ。

深く読み解きたい。