◆奥山真司『世界最強の地政学』を読み解く
★要旨
・わたしの考えでは、
実際の国際政治や安全保障について考えるとき、
今なお強い説得力をもっているのは、
アルフレッド・セイヤー・マハンや、
ハルフォード・マッキンダーといった、
20世紀前半の理論家たちに源を持つ、
「古典地政学」のほうだ。
・現実の政治を動かしている指導者・担当者たちは、
基本的には、
古典地政学の理論枠組みで思考している。
・現代の地政学に直結しているのは、
英米系の地政学で、
その特徴は、海洋の比重が高いこと。
・なかでも古典地政学の三大スターが、
アルフレッド・マハン、
ハルフォード・マッキンダー、
ニコラス・スパイクマンである。
・「海の地政学」創始者マハンの理論で重要なのは、
シーパワーを海軍力のみに限定していないこと。
・マハンは、
海上輸送の有利さを説き、海軍は通商保護のためにも存在する、
と述べた。
・シーパワーとは、
通商、情報網なども合わせた「海洋力」なのだ。
・じつは、現代でも輸送において、
海運は圧倒的に優位を保っている。
世界貿易のうち、
海上輸送が占める割合は、
金額で7割、重量では9割強を占めている。
・さらにいえば、
艦船建造能力などの産業力、
港湾などの拠点をつくり運用する能力、
通商や外交に不可欠な情報のネットワークなども、
シーパワーを形成する重要な要素なり。
・日本の城や関所は、チョークポイントなり。
・イギリスの国力のピークは1860年代だった。
自国の衰退を見すえながら、
国家の存続のために譲れない一線は何か。
そこを突き詰めたところに、イギリスの凄みがある。
・英国は、第一次と第二次大戦を通じて、
多くの植民地を手放したが、
それだけの犠牲を払っても、
「ドイツによるヨーロッパ大陸の支配を許さない」
というグランド・ストラテジーを貫徹した。
それこそ、譲れない一線であった。
・いちばん大事なのは「国家が存続すること」なり。
・情報の歪みは、「世界観」の歪みにつながる。
頭に正しい地図を描くには、
絶え間ない実地調査と情報更新が、不可欠である。
★コメント
地政学と大戦略の本質と面白さを、
わずが200ページの新書にまとめあげるところに、
奥山さんの凄みがあると確信しました。
本書は確実に、人生、会社経営、ビジネス活動に応用できます。
もちろん国家運営、国際関係にも。
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