◆北野幸伯『プーチンはすでに、戦略的に負けている』を読み解く
副題→「戦術的勝利が戦略的敗北に変わるとき」
★要旨
・戦略は、戦後のことまで考えることである。
・日露戦争での日本の大戦略は、
「世界の2大国イギリスとアメリカを味方につけて、
ロシアとの戦争に勝つ」
ということ。
・戦略脳の指導者は、
大局的に、長期的に考えることができる。
・プーチンは、常に戦っていた。
2000年から2008年までは経済が成長し、
仲間も多く、有利に戦いを進めていた。
・しかし、
プーチンが2012年に大統領に返り咲き、
2014年にクリミアを併合すると、
流れは変わった。
・制裁と原油価格の低迷で、
経済成長が止まったのだ。
・ロシアは、ウクライナ侵攻によって、
「旧ソ連圏の盟主」の地位を喪失した。
・ロシアは、
ガス大国であり、石油大国である。
・ロシアの歳入の約4割を
石油ガス産業から収入が占めている。
・中国は、ロシアに対し、
エネルギー価格の決定権を握れるようになった。
・ロシア経済が、
石油・天然ガスに依存していることを考えると、
中国は、ロシアの
「生殺与奪権を握った」
といえる。
・資源大国ロシアには、
「ガスが来ていない場所」「道路がない場所」が
たくさんある。
・国のパワーは、
人口、経済力、軍事力によって決まる。
・日本でも世界でも、
「目先の欲望を満たす」ために違法行為をすれば、
戦略的敗北が待っている。
・戦術的勝利が、戦略的勝利につながるとは限らない。
★コメント
過去の世界史と、現在の国際情勢を組み合わせながら、
今のロシア・ウクライナ情勢を考察する、
北野さんの分析力は、圧巻である。
この一冊には、
超カオスな国際情勢と、世界のキーパーソンの人物像、
ロシア近現代史、国際金融と資源・世界経済のしくみが、
凝縮されている。
真面目な、大学の授業では知ることのできない、
剥き出しの世界情勢とリアリズムを体得でき、
どう生きるべきかを熟知することができました。
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