◆小泉悠『オホーツク核要塞。歴史と衛星画像で読み解くロシアの極東軍事戦略』を読む


★正式副題

→歴史と衛星画像で読み解くロシアの極東軍事戦略。



★要旨



・第二次ロシア・ウクライナ戦争とオホーツク海の聖域との関係性を考えてみたい。



・オホーツク海(あるいはバレンツ海)が聖域である限り、

米国がロシアの侵略行為を実力で阻止する可能性は

一般に低く見積もる余地があるということだ。



・以上は、ありうべきロシアの核使用がこのようなものであると予言するものではない。

むしろ、そのような予言を行うことが困難であるからこそ、

オホーツク海の聖域はウクライナでの戦争を

継続させる力を持っているのである。



・ソ連崩壊後のロシア軍にとって、

米国を中心とする西側の海軍力に正面から

対抗することは簡単ではない。



・現在のロシア海軍は

聖域周辺の広範な海洋を制圧(コントロール)する代わりに、

SSBN基地や指揮通信結節、経済中枢といった重要拠点を重点的に防護する方針を採用しており、

このためにセンサー、電子妨害システム、囮、

防空システム、航空機などによる重層的な防衛網を展開してきた。



・このような防衛網が最も手厚く配備されているのがバレンツ海周辺で、

要塞の城壁は依然として相当に手強いものであることが見て取れよう。



・オホーツク海の聖域には、

バレンツ海にはない地理的脆弱性が存在する。



・かつての中央アジアはソ連の弱点という意味で

「柔らかな下腹部」と呼ばれたが、

このひそみに倣うなら、

東シベリア海はロシアにとっての「柔らかな背後」

とでも呼ぶべき位置関係にある。



・SSBNのパトロール海域に含まれないコテリヌィ島やウランゲリ島、

シュミット岬などの東シベリア海沿岸においても、

飛行場、レーダー、

地対艦ミサイルの配備が進められている理由はおそらくこれであろう。



★コメント

小泉さんのマニアックな解説は、圧巻である。

この周辺も学びたい。