◆播田安弘『日本史サイエンス邪馬台国、秀吉の朝鮮出兵』を読む(その2)



★要旨



・200年以上も鎖国をしていた日本は、

科学や技術という点では欧米と比べるまでもない後進国でした。



・ついこの間までちょんまげを結っていた国が、

これほど急速に産業を成長させ、

経済を大きく発展させることができたのはいったいなぜでしょうか。



・それはやはり、ペリーが驚いたように、

武士階級は藩校で、

町民は寺子屋で学んでいた江戸時代の教育水準の高さがあったからでしょう。



・筆者はもうひとつ、

明治維新後の日本に急成長をもたらした重要な要因があったのではないかと考えています。

それは「暗黙知」によるコミュニケーションです。



・ポランニーは著書『暗黙知の次元』のなかで

「人の顔を区別できること」や「自転車に乗れること」

を暗黙知の例としてあげています。

イメージとしては、

長年の経験にもとづく「コツ」や「勘」といってもいいでしょう。



・反対の概念としては、言語化されている知、

マニュアル化できる知などとしての「形式知」があります。



・日本には、コミュニケーションにおいて話し手と

聞き手との間の文化的背景の共通性が高いという特徴があります。

このような文化をハイコンテクストの文化ともいいます。



・反対に、異民族どうしが共存しあう国では、

正確にコミュニケーションをとるためには曖昧さを排除して言語化する必要があります。

これをローコンテクストの文化といいます。



・昨今では、

暗黙知はノウハウを共有することができないとか、

相手の顔色や場の空気をうかがいすぎて、

「忖度」を過度にしてしまいがちになるなどと指摘され、

暗黙知を言語化して

形式知に置き換えることが推奨されているようですが、

情報には言葉だけでは伝えられないものも確実にあります。



★コメント

文化とは何か。

今一度、振り返りたい。