◆宮家邦彦『台湾危機・驚愕のシナリオ。米中戦争』を読む



副題→「台湾危機・驚愕のシナリオ」



★要旨



・台湾は近代日本の安全保障にとって極めて重要な地域だ。



・いくら権力を集中しつつある習近平体制とはいえ、

一つ間違えば、台湾侵攻の失敗は、

中国共産党一党支配の「統治の正統性」を揺るがすリスクともなる。



・日本国内で「抑止」の議論を深め、

続けるだけでも「抑止効果」は十分にある。



・歴史は繰り返さないが、往々にして韻を踏む。



・要するに、

台湾と米国が現状維持のため最大限の「意図」を持てば、

中国による台湾武力侵攻を「抑止」することも

不可能ではないということだ。



・逆にいえば万一、台湾や米国が本気で現状を維持する

「意図」がなければ、対中「抑止」は減殺され、

中国の国家「目的」は成就するだろう。



・手前味噌だが、自衛隊関係者を除けば、

中国の安全保障上の脅威をもっとも早い段階で

懸念していた日本の文官組織は外務省北米局だったと思う。



・長い中国の歴史は、

各王朝の栄華と衰亡の歴史である。

王朝の衰亡にはいくつかのパターンがある。



・中国王朝衰亡の3つの共通項として、

「北方民族と宗教反乱、そして宦官の存在」

をあげる。



・中国は北方民族に何度も侵入され、完全に支配された。

王朝が混乱すると宗教反乱が起こり、

宦官や皇帝の外戚が権力を握ると、

その王朝は必ず滅びた。

古代史を見る限り、こうした見方は正しい。



★コメント

中国と対峙するには、その歴史を今一度くわしく

振り返ることが大事だ。

そこに勝利のヒントが詰まっている。