◆保坂三四郎『諜報国家ロシア』を読み解く



副題→「ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで」



★要旨



・本書は、なによりも自分のために書かれた。

私は2000年ごろ、モスクワに1年間留学した。

まだ20歳だった私は、ロシアでの体験に感化されて、

「ロシアかぶれ」となって帰国した。



・2014年、わたしは、

ロシア語やロシア政治・文化を教える教師、有識者が

ロシアの違法なクリミア併合を、

正当化こそしないが、ロシア側から見た歴史・文化的視点、

危険なウクライナ民族主義の台頭、

欧米諸国の「偽善」を持ち出して、

これを必死に相対化しようとする姿を見て

違和感を持った。



・免疫(予備知識)を持たない状態で

ロシアの研究やビジネスに取り組む若者が行き着く先は、

だいたい相場が決まっている。



・ロシアに対して、激しく抵抗し、

独立運動を繰り広げてきたウクライナ人は、

ロシアという国や人々を最も肌身で知っている。



・逆に、ロシアは、

ウクライナのことをほとんど知らない。



・1985年、ゴルバチョフ・ソ連共産党書記長は、

ブレジネフ期のソ連社会・経済の停滞からの

脱却を目指し、「ペレストロイカ」と呼ばれる、

改革を提唱した。



・ソ連の経済自由化にともない、

小規模な民間ビジネスが許可された。

貿易が開放されるにあたり、

チェブリコフKGB議長は、

対外経済活動の発展と両立できる防諜体制の

「抜本的なペレストロイカ」が必要であると説いた。



・ソ連では、

国家保安機関に勤務する者のことを、

「チェキスト」と呼んだ。



・そこで、東欧に駐留していたソ連軍が撤退すると、

軍内部で防諜に従事していたチェキストは、

ビジネス・貿易分野での防諜担当に

配属替えされた。



・1989年、クリュチコフKGB議長は、

チェキストが新しい民間の職業に習熟する必要性を訴え、

KGB内部では、経済・ビジネス専門の養成に力が入れられ、

若手には企業で研修を受けさせた。



・市場経済の仕組みについて幹部研修が行われ、

経済防諜を担当する第6局は、

闇経済の実態を詳細に分析した。



★コメント

やはり、ソ連やロシアの歴史は、

KGBや情報機関を抜きには語れない。