◆宮地美陽子『首都防衛』を読み解く
宮地美陽子さんは、元・読売新聞記者。
現在は、東京都知事政務担当特別秘書。
★要旨
・首都直下地震による、最悪のシミュレーションは、
以下の通り。
・首都直下地震の発生翌日、
職場や外出先から自宅への帰還が困難になった帰宅困難者が
一時滞在施設の場所がわからず、避難所にも殺到した。
収容力を超える事態だ。
・通信の途絶に加え、スマホのバッテリーは切れ、
家族らとの連絡が困難になった人々がイライラを募らせる。
備蓄の飲用水や食料は限定的で、仮設トイレは衛生環境が悪化。
感染症が蔓延することへの不安も広がった。
・さらに自宅での避難生活を送っていた人も家庭内の備蓄が枯渇し、避難所に次々と訪れる。
・支援物資やボランティアの供給には地域でバラツキがみられ、
人々のストレスも増すばかりだ。
・東日本から西日本の広範囲で甚大な被害をもたらす3つの巨大災害は、
静かに、だが確実に迫る。
・注意しなければならないのは、その3つが同時期に発生すれば、
被害は「1+1+1=3」にはならないことだ。
・単発で発生すれば生産拠点を移したり、
安全な地を求めて移住したりすることができるが、
日本全体に同時多発のダメージが広がる「大連動」はそれを許さないだろう。
・首都機能に大きなダメージを与えるM7.3の
「都心南部直下地震」など8つのケースを想定し、
発災直後から1ヵ月後までに起こり得る事態を時系列で示した災害シナリオを初めて盛り込んでいる。
・電力や上水道といったライフラインは寸断され、
通信や交通インフラがストップ。
物資が不足し、
救出・救助や被災地支援が遅れるなど被害が長期化する可能性も想定している。
・東海から九州にかけて巨大地震が生じれば、
経済被害は2011年3月に起きた
東日本大震災の10倍超にも達すると予想される。
・大地震の襲来だけではない。
2023年3月には山梨、静岡、神奈川の3県と国などがつくる協議会が富士山の噴火を想定した新たな避難計画を公表した。
・避難の対象地域を6つのエリアに分け、
気象庁が噴火警戒レベルを引き上げた場合などの対策を盛り込んでいる。
・ある総務相経験者は
「二つの大地震に加えて、富士山の噴火が我が国を襲えば国力は大きく減退する。
明日、生じるかもしれないと思って対策と準備を進めるべきだ」
と危機感を強める。
★コメント
あらためて、
悲観的に最悪に備え、楽観的に対処したい。