◆江崎道朗『日本占領と「敗戦革命」の危機』を読む



★要旨



・戦争は恐ろしい。

実はこの戦争と同じくらい恐ろしいのが、共産主義だ。


→そして、共産主義の脅威は終わっていない。


現在進行形の「脅威」などだというのが、

アメリカのドナルド・トランプ大統領の認識だ。



・共産主義は、自由、繁栄、人間の命の尊厳とは

相容れない政治思想である。


・日本では、東西冷戦の終了とともに


イデオロギー対立の時代は終わったかのような

「誤解」が振りまかれた。


→だがトランプ大統領は、

共産主義とその変形である全体主義の脅威が

北朝鮮、そして中国において現在進行形であることを理解している、

極めて珍しい指導者なのだ。



・なぜ北朝鮮は、こうした残酷な共産主義体制になってしまったのか。

北朝鮮の悲劇は、ソ連・コミンテルンの工作と、

先の大戦および日本の敗戦の結果、生まれたのだ。


・敗戦直後の日本こそ最大の危機だった。



→このままだと、ゼネストから人民戦線内閣樹立、

そして敗戦革命へと一気に事態は展開する可能性もあったが、

こうした動きを「インテリジェンス」と「経済」の2つの分野で

阻止しようとしたのが昭和天皇であり、

吉田茂首相や石橋湛山蔵相ら保守自由主義者であった。


・昭和天皇が立脚されていたのは、

聖徳太子の十七条憲法、さらに明治天皇の五箇条の御誓文に象徴される、

保守自由主義的な日本の姿であった。



・約600万人もの軍事力が終戦時に残されていた意味。


・重光が間接統治を勝ち取ることができたのは、

1つには皇室の権威に日本国民が従っていたこと。


第2に、重光のような保守自由主義者たちが国際法を理解しており、

その知識をフルに使ってGHQと対等に議論する力があったこと。


→そして第3に、陸海軍がまた解体されておらず、

重光の背後に巨大な日本軍が存在していたことがあった。


・降伏したとはいえ、

完全な武装解除が終わるまでは、GHQにとって日本は怖かったのだ。



・国際政治は、軍事、経済、外交、インテリジェンスといった

力によって決定していく。


そして敗戦直後は、

天皇陛下の命令に従う600万人の日本兵が存在し、

連合国に対して圧力を加えることができたのだ。


→言い換えれば、日本軍の解体が進むにつれて、

連合国、GHQの対応は傍若無人になっていく。



・GHQによる直接統治を許せば、

一方的に日本を解体される恐れもあった。

だが、そうした重光の危機感を、

日本政府全体が理解していたわけではなかった。

実はあっという間に弛緩して、

まるで平時のような錯覚に陥っていたのである。


・重光は当時の政府内のこんな雰囲気を活写している。


「耳ざわりの好き部分のみに重きを置き、

全体的に日本の運命が敵の手中に陥った、

という冷厳なる敗戦の事実を認識し、

責任を感ずるものが少なかった」



→多くの指導者たちは、

終戦になったとたんに暢気に緩みきってしまったのだ。

敗戦革命に備えるどころではなかったわけだ。



※コメント

細かい歴史をみることにより、

歴史の本質を知ることができる。

細部をおろそかにしてはならない。




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