◆三浦元博『経済兵器。現代戦の手段としての経済制裁』を読む



ニコラス・シュルデル著

三浦元博、訳。



★要旨



・経済兵器によって

断ち切られる可能性があるのは、

物品貿易、資金の流れ、外貨準備、

エネルギー供給、戦略的インフラ、そして海運である。



・制裁は、欧米が経済的・帝国的支配の時代に、

欧米によって開発されたものである。



・その他の世界は、

通商ルートを迂回する目的地としての役割を

果たすほど豊かではなかった。

こうした状況は今日、もはや存在しない。



・制裁によって、国際政治に利用できる手段は広がったが、

同時に政治的成果は、明らかに限られている。



・現在の世界が、

戦間期の不安定な秩序に似てきたもっとも顕著な点の一つは、

2022年2月以降の大規模な対ロシア制裁が

世界市場に与えた影響である。



・これほどの経済規模の国が、

国際的な制裁の標的になったのは、

当時世界7位の経済大国であったファシスト・イタリアの

エチオピア侵略を罰しようとした、

国際連盟の試み以来である。



・かつて、燃料管理をグローバルな懲罰手段に

変える唯一の方法は、

米英がオランダと協力することだった。



・オランダは、ロイヤルダッチシェルを通して

中東および東南アジアの石油生産の重要なシェア、

特に、東アジアの主要石油産地である、

オランダ領東インドを支配していたのだ。



・世界石油市場における米英蘭の優勢は、

世界の鉱物生産のより幅広い集中を象徴していた。



・1938年には、

10ヶ国が世界の鉱物の71%を支配していた。



・そして米国は、

単独で世界の鉱物の29%を自由にできた。



・英国とフランスは、本土には石炭と鉄のほかは、

多くの鉱物を蔵していないが、植民地帝国で、

そして海外で活動する私営企業を通して

非公式で大量の鉱物を支配していた。



・これらの隠れた法人保有資産を国の総計に含めると、

鉱物の実際の集中は、さらにいっそう極端になる。

英米が、51%を支配し、

米英仏独ソによる寡占が、

世界の供給の74%を占める結果になった。



★コメント

あらためて、世界経済の凄さを知った。

学び続けたい。