◆神野正史『家系図で読み解く世界史』を読む



副題→「ヨーロッパを変えた結婚と離婚」



★要旨



・王朝交代のやり方にも

民族ごとに特性があらわれる。



・フランスは「男系親族一択」だったがために、

1000年にわたって一度も王朝交代を起こさなかった。



・イギリスは「女系も認める」がゆえに、

十数回もの王朝交代を起こした。



・イギリスのリチャード3世は

ランカスター家の者を皆殺しにして

その玉座を奪った。


→しかし、「血塗られた玉座」に座る者には

「血塗られた人生」と「血塗られた末路」が

待ち受けているものだ。



・政治において、

「肩書と権力が乖離」することは、混乱の温床なり。



・専門知識が必要なことに素人が首を突っ込むと、

ロクな結果を生まない。


政治などはその典型で、

とても素人などに扱えるような代物でない。

素人集団がフランス革命を引っ掻き回したことで、

あっという間に、欧州外交を破壊した。


そして全欧州を巻き込む戦争を引き起こし、

経済を破綻させ、

社会を混乱させた。



・「生きていればこそ、浮かぶ瀬もあれ」


ときには身ではなくプライドを捨てて、

退くことも大切。

ハインリッヒ4世は、屈辱に耐えて、復活した。



・「なまじ学のある馬鹿ほど恐ろしいものはない」


これは日露戦争直前に、伊藤博文が

「東大七博士」に対して述べた言葉なり。


なまじ学があると、

「自分の頭の中で造り上げた理想」に囚われて、

目の前の現実を無視して、突っ走りがち。



・ピンチとチャンスは、表裏一体なり。



・ハプスブルク家第10代のレオポルド1世は、

オスマンによる侵攻を

「キリスト教世界の危機」と位置づけ、

喧伝し、これまでいがみ合ってきた、

領邦、諸国をまとめ上げた。

「諸侯の盟主」になることに成功した。



・ドイツのビスマルクのように、

若いころ周りから、ひんしゅくを買うほど、

ハメを外した人物というのは、往々にして

社会の枠にはまらない「大器」であり、

そうした人物が

「何人も成し遂げられない偉業」を

達成するものだ。



・強い敵との戦いに勝つコツは、

「敵の土俵」で戦わぬこと。

ナポレオン軍も、

ゲリラ戦にはてんで弱いことを示した。



・ひとつでも前例が生まれれば、

それはほどなく慣習になる。



・理屈と感情、義理と人情を秤にかけりゃ、

感情と人情がまさってしまうもの。



・王家の断絶を避けるため、

あらかじめ分家を用意しておくという

措置はよく取られる。


有名どころでは、徳川幕府。

家康の息子、秀忠の系統を本家として、

弟たちに分家をつくらせた。



・世界史は、

人の心や感情、意志、努力を原動力として動いている。

これは人生にも当てはまる。


苦境にあろうが苦難に逢着しようが、

自らの情熱、強い意志と努力こそが

人生を切り拓く原動力となる。



★コメント

やはり歴史から学ぶことは多い。