◆吉田類『酒場詩人の流儀』を読み解く



★要旨



・僕の旅に欠かせないアイテムは、酒と俳句だ。

ほろ酔いて胸襟を開けば、

人の縁の輪が広がる。



・酒造りの神様として

京都の松尾大社は、よく知られる。

各地の造り酒屋で分社が祀られている。



・日本最古の神社とされる、

奈良の大神神社(おおみわじんじゃ)には、

杜氏の祖という高橋活日を祀る社がある。



・県民性、あるいは県人気質という言葉が、

酒場談義に時折あがる。



・高知。

そこは酒の前に人の上下をつくらない無礼講が

信条の土地柄なり。



・島根の松江にある老舗酒蔵では、

「古事記」のスサノオが、オロチ退治に使った「八塩折之酒」の

再現酒を飲ませてもらった。


伝説が、平然と現代社会に息づいている。



・もし、人の成長過程で豊かな自然から学ぶ機会を失えば、

命のはかなさも、

憐憫の情も培わないように思える。



・酒や酔っ払いのことを詠む詩人たちの存在は、

現代に至るまで絶えることがない。



・芝木好子の著書、

『隅田川暮色』『洲崎パラダイス』

は、おすすめである。



・太宰治の師匠筋にあたる井伏鱒二は、

90歳を過ぎても中央線・荻窪駅から

新宿駅周辺の酒場を飲み歩いていた。


そして朝まで飲み続けても決して乱れることのない、

紳士然とした酒豪のエピソードを残している。



・もし人との縁をつなぐなら、

一献の力に頼るのもいい。



・かつて

「酒場は男を磨く道場」

とみなされてきた。

客は顔見知りの有無に関係なく、

他者とのコミュニケーション力が問われる、

パブリックな道場となり得た。


じつは近年、この大衆酒場そのものが

欧米人から注目されている。



・列島のいたるところ、

酒造りには欠かせない清らかな滴りがある。



★コメント

お酒の本を読んでいると、呑みたくなる。

さあ本を捨てて、酒場へいこう。