◆倉山満『嘘だらけの池田勇人』を読み解く



★要旨



・池田勇人が、健康にめぐまれ、

佐藤栄作や安倍晋三のような長期政権を築いていたら、

間違いなく大日本帝国は、復活していただろう。


池田にとって、

経済は手段にすぎず、

池田にとって真の目的は、大国に戻ることだった。



・池田勇人の若き日は、

挫折、挫折、そして挫折の連続だった。



・京都帝国大学をでた池田は、大蔵省に入った。

同期には、迫水久常、福田赳夫がいる。

しかし同期が欧米に派遣されるなか、

池田は、函館税務署長や宇都宮税務署長と、

地方回りをする。

いわゆる「ドサ回り」である。



・池田が偉かったのがドサ回りによって

現場で仕事を覚えたこと。

左遷させられたなか、

現場のノンキャリの中に入って、仕事を覚えた。


地方の税務署員と一緒にメシを食い、

酒を飲み、仕事を教えてもらった。

ペーパーの数字だけでない、生きた知識である。



・いつしか池田は、「税務のプロ」となっていく。



・1930年、池田は難病にかかる。

1934年、職場復帰。



・やがて本省に戻されるが池田の冷遇はつづく。

重要会議も呼ばれない。

しかし池田は腐らなかった。


「役所でどんぶりメシの夜食を食べながら、

税務の下積み官吏と一緒に仕事をする。

親しくなる。

もちろん鬼のように仕事を言いつけるけれども、

連中の苦しみは分かるようになるし、

下僚のやっている仕事をすっかり把握することができた」

と回想している。



・池田は、税制の専門家であって、

経済の専門家ではなかったが、

石橋大蔵大臣の下で次官になり、

その薫陶を受けることとなる。


税という狭い視点ではなく、

経済全体を見る広い視野を持った。



・田中角栄は、なぜか高度経済成長の申し子とされ、

何がどう間違ったのか、

「戦後最高の総理大臣」とされる。

しかし、首相のときの角栄は、

日本列島改造論による狂乱物価で

高度経済成長を終わらせた。



・指導者が大国に戻る意思を示す。

そして国民に希望を示す。

経済を豊かにし、軍事力を持ち、

諸外国に媚びなくていい国とする。

強兵をつくるには、まず富国なり。



・池田は、人使いの達人だった。



・実は、池田は外交も得意だった。



・大事なのは、

アメリカは敵と味方を間違える天才であり、

敵をつくる天才であり、

回した敵を結束させる天才であるということを

理解すること。

だから、いざというとき、

誰よりも早く「味方だよ」

とアピールしなければならない。



・池田は、自衛隊の社会的地位の向上を図った。



・訪欧の際には、

英国のマクミラン首相との会談後、

池田は、秘書官のブーちゃんにこうぼやいた。


「日本に軍事力があったらなあ、

俺の発言権は、おそらく今日のそれに10倍したろう」



★コメント

あらためて、池田勇人について調べなおしたい。