◆加治将一『龍馬を守った新撰組。禁断の幕末維新史』を読む



★要旨



・そもそも京都の豪華な寺院を建てたのは、江戸幕府だ。



・幕府は、宗教各派の根っこを京都一か所で把握し、

コントロールすることによって、

厄介な地方の一揆、反乱を抑えた。


京都という厳かな街が維持でき、

公家はそこで蹴鞠や歌会で遊びながら、

のんびり暮らせたのも

武士という後ろ盾があったから。



・当時の寺は、

サイドビジネスとしてホテル業を営んでいる。

大きな寺院は、

団体専門だから、ホテルのほうが本業だ。



・幕末当時、幕府も諸藩も、

組織という組織は、お互い手当たり次第、

いたるところに密偵、チクリ屋を潜り込ませている。


商人、坊主、飯盛り女、女郎、剣道場、

高級スパイから下働きまで、

「接する相手はみなスパイだ」

とアーネスト・サトウは日記に書いている。



・近藤勇は、潜入工作員だった。



・近藤と会津は、

早い段階から秘密のパートナーだ。

近藤特務機関は、

めざましい勢いでノウハウを蓄積した。



・当時の日本は、もはやカオス状態である。

派閥争い、利権争い、内紛につぐ内紛、

それに開港だ、自由貿易だ、外国為替だ、

と頭痛の種は、どっさりあった。



・坂本龍馬の亀山社中は、

商材として武器、茶、建材、海運業まで手掛けている。


取引相手にも藩の垣根は無かった。

フリーハンド。

そんなことができたのは、

英国のトマス・グラバーがバックについていたから。



・グラバーは、

日本国内における第三国である土佐の龍馬をダミーにして、

薩摩や長州と武器取引をした。



・近藤勇は、龍馬とつながっていた。



・戊辰戦争も、古い封建社会をぶち壊し、

近代国家に近づいたという事実はある。

しかし、その裏側を覗けば、

ドス黒いカネの奪い合いで、

血に飢えた歴史が、まったりと横たわっている。



★コメント

おもしろい歴史の見方であり、

いろいろと気づかされる。

幅広く読み込みたい。