◆佐藤優『読解力の強化書』を読み解く
副題→「未来を生きるために」
★要旨
・「読解力」とは一般的には、
テキストを読み解く力と考えられるが、
私としてはもっと広い概念で考えられる。
ひと言でいうならば、
「相手を正しく理解し、適切に対応する力」
ともいえる。
・読解力の豊かな人と仕事をすると、
一を聞いて十を知るまでいかずとも、
こちらの意図を素早く察知して、先回りしてくれる。
・読解力が優れていれば、
人間関係もうまく回り、トラブルも少なく、
必要最小限の力で、成果を上げることができる。
・小説は、読解力を磨く最高のテキストなり。
・優れた小説を読むことで、
現実ではなかなか出会うことができないような人格や
状況に向き合うことができる。
・なかでも世紀を超えて
読み継がれている古典作品が一番である。
ドストエフスキーの諸作品、
『カラマーゾフの兄弟』『罪と罰』など。
・体全体を使って読む効果。
小説のような散文も、詩歌のような韻文を理解するには、
一体化と共感が理解をさらに深める。
・テキストと一体化するという点でおすすめが、音読だ。
テキストを声に出して読む。
・目→声→耳。
この一連の作業を通じてテキストを読み、
理解することになる。
・昔、寺子屋で読書といえば音読が当たり前で、
黙読は基本的にはなかった。
・「読書百篇、意自ずから通ず」
という古い言葉があるが、
まさに声に出してたくさん繰り返すことで、
文章を暗記することができるだけでなく、
自然に内容を理解できるのだ。
・私も音読することで、
理解しにくい本が理解できた経験が多々ある。
若いころ、外交官試験のため読んでいた、
新開陽一さんの『近代経済学』がなかなか理解できなかった。
そこで音読してカセットに吹き込んだ。
・2時間テープで5本ほどになったが、
それをもう一度聞いて、本を読み直す。
すると驚くほど理解が進んだ。
・頭だけでなく、
体全体を使ったほうがはるかに理解しやすい。
体を動かしながら覚えたほうが、
効率よく暗記できることがわかっている。
音読はまさに体を動かすことである。
・読解力の最終目標は、行間を読むこと。
・行間を読むとは、
文章に書かれていない意図や流れを読み取ること。
・じつは、インテリジェンスの仕事とは、
まさにこの行間を読む作業であり、
コンテキストを読む作業なのだ。
というのも、外交的な文書にしても発言にしても、
ほぼ必ずと言っていいが、テキストには明示されていない、
メッセージや情報が背後に隠されている。
・外交の舞台では、
いろいろな形でさまざまなシグナルを送ってくる。
シグナルはテキストに表れているものだけでなく、
多くがその背後に隠されている。
・言葉の裏を読めたら、一人前なり。
・読解力を構成するのが「要約」と「敷衍(ふえん)」である。
・私がゼミや勉強会などで読書の仕方を教える際、
かならず参加者にやってもらうことがある。
それはテキストの「要約」と「敷衍」だ。
・「要約」とは言葉通り、
文章を重要な部分を抽出して短くまとめ、
文章を簡潔に示すこと。
・「敷衍」とは、
その逆に、文意はそのままで、
それをより詳しく、かつ理解しやすいように
言葉や表現を変えながら話を広げていくこと。
・そうやって力をつけていくことで、
行間を読むことができるようになる。
・読解力が、他の教科の力を上げる。
★コメント
いろいろな手法を試しながら、レベルアップしていきたい。
大人でも読解力や会話力を上げることはできると確信した。