◆月沢李歌子『最強の知的武装術。英国諜報機関』を読み解く
副題→「イギリス諜報機関の元スパイが教える。
残酷な時代を乗り切る10のレッスン」
著者→デビッド・オマンド
翻訳→月沢李歌子
デビッド・オマンド氏は、
ケンブリッジ大学卒業後、
暗号解読や通信諜報を担当する政府通信本部(GCHQ)に勤務。
国防省を経て、GCHQ長官、内務省の事務次官を歴任。
情報機関を監督する合同情報委員会の議長を
歴任したスパイマスター。
★要旨
・1982年3月、
ロンドンの国会議事堂で、
マーガレット・サッチャー首相は顔をしかめて、
私が手渡した報告書を読んでいる。
→そして、「これはまずいわね」
と言った。
「はい、首相」
と私は答えた。
→「報告書からは、アルゼンチン政府が
フォークランド諸島へ侵攻する準備を完了しつつある、
としか読めません。
おそらく、今度の土曜日でしょう」
・私は当時、ジョン・ノット国防大臣の主席秘書官だった。
フォルダに入っていたのは、アルゼンチンの海軍通信を傍受し、
暗号を解読した通信文だった。
演習中の艦艇が再結集しているとのことだった。
・艦艇の座標を分析した結果、
目的地は、フォークランド諸島のポートスタンリーに
間違いないとGCHQは結論を出していた。
・合同情報委員会(JIC)の直前の評価は、
アルゼンチンは武力を用いるのは避けたいと考えている、
とのことだった。
・イギリスが突然、フォークランド紛争に
突入することになった衝撃は、
私の記憶の深くに、いまだに残っている。
誤った判断が、どれほど大きな影響をもたらすかを
見せつけられたからだ。
・情報を武器にすれば、リスクはチャンスに変えられる。
・相手の立場で考える。
・真の信頼関係を構築する。
諜報機関は、
強固な協力関係に価値があることを十分に学んでいる。
・思い込みに頼って間違えたときは、
とても大きな過ちになる。
専門家さえ、この罠に陥る。
・いったん妄想にとらわれると、
なんでもないことを陰謀の裏付けとして解釈するようになる。
私の経験では、秘密情報の世界でも、
陰謀よりもへまをして失脚するほうが確実に多い。
・双方が交渉中であることを公に認めたくない場合には、
外交の「裏ルート」が対話を維持するために
重要な役割を果たしうる。
・チャーチルは、言った。
「うしろを見れば見るほど、未来が見える」
★コメント
あらためて、諜報世界の壮大さを知った。
◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご案内。
ご登録はこちら。
http://www.mag2.com/m/0000258752.html
★