◆原田武夫『アメリカ秘密公電・漏洩事件』を読み解く
副題→「ウィキリークスという対日最終戦争」
★要旨
・「情報リテラシー」とは結局のところ、
ネット上に拡散されている無数の情報の中から
「意味」を拾い出し、読み込むという意味で、
まさにキュレーションそのものである。
・ウィキリークスは、情報工作活動の温床なり。
・わたしが外務省で最後に担当したのが北朝鮮だった。
そこで見たものは何とも言えず
虚構そのものの光景だった。
外交場裏で繰り返される協議や会合、
あるいは日常的な外交ルートでの接触の数々。
しかしそれらはいずれも真実を投影しているものとは
およそ思えなかった。
・ウィキリークスは、
2008年3月18日に東京のアメリカ大使館(在京米大)が
国務省に対して発出した公電を公表した。
この公電で、在京米大は、
「情報通信システム」「航空・海運施設」
「金融マーケット・インフラ」について
日本が重要な意味合いを持っていると力説している。
・日本が産出しているヨウ素生産量のほとんどは、
千葉県にある水溶性天然ガス鉱床(南関東ガス田)から
産出する地下水から生産されている。
すなわち、日本でヨウ素といえば
「南関東ガス田」なのである。
・日本が輸出するヨウ素は、「戦略物資」なのである。
・アメリカ秘密公電そのものは英語で書かれているため、
さすがのアサンジでも読むことができる。
・だが「公電」を読みこなすには文脈を知ることが必要なのだ。
外交はその性質上、いわば
「続きもののドラマのようなもの」である。
・外交公電はいわば
連続テレビ・ドラマの台本のようなもので
現地における前後の文脈をしらなければ
何ら意味をなさないことが多い。
英語以外には全く疎い「ウィキリークス」には
何とも扱いにくい文書だったに違いない。
・公電に外交官の欲望が渦巻く。
・とかく興味本位で取り上げられがちな
「アメリカ秘密公電」だが、結局は業界の内部文書なのであって、
そうである以上、まずは「業界としての外交」の常識を
知っていただきたい。
・外交官の一日、それは「公電」を読むところから始まる。
外国にある大使館であれ、
外務省本省であれ、デスクの上にまず積まれるのは公電の山だ。
・重要な点、それは公電独特の「文体」である。
私自身、外務省に入省当時、
先輩同僚たちから口を酸っぱくして言われたことがある。
「電報の一字は血の一字だ。決して無駄なことは書かないように」
・そもそも「外交(diplomacy)」とは
アメリカが創り出したものではなく、
フランスも含めた欧州が編み出した業である。
そうである以上、
圧倒的な軍事力を持ったアメリカとはいえ、
この世界においては依然として「アマチュア」だと
欧州からとらえられても仕方がない側面のあることは
否めない。
・たしかに外交は国際関係をとってみても
その一面に過ぎず、
およそ真実のすべてを語り尽くすものではない。
外交は「働きかけ」をしても、
結局は口八丁の世界なのであって、
そこにはむき出しの力が見え隠れするわけはないし、
跡形もなく証拠を片付けて動く世界でもない。
・私は公開された在京米大発の、
5697本の公電のすべてに目を通した。
その感想を一言でいえば「宝の山」である。
これらの秘密公電をパソコンの画面上で一ページ、
そしてまた一ページとめくるたびに
鼓動の高まりを禁じ得なかった。
・なぜなら東京で活動するアメリカ人外交官たちが見た、
「真実」がそこには生々しく書かれていたからだ。
・「なぜアメリカは、そこまでして日本を苦しめるのか」
その理由を率直に言おう。
アメリカにとって我が国ニッポンは常に、
そう常に「脅威」であり、
同時に「憧れ」であり続けてきたのだ。
★コメント
独自の視点で世界を分析されているところに
おもしろみを感じる次第である。
◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご案内。
ご登録はこちら。
http://www.mag2.com/m/0000258752.html
★