◆本橋信宏『高田馬場アンダーグランド』を読み解く



★要旨



・高田馬場はアジア系留学生が多い街であり、

彼らの食事先、アルバイト先として

数多くのアジア系料理店が存在する。



・漫画の神様は、高田馬場の何に惹きつけられたのか。



・1970年代初頭は、手塚治虫最大のスランプだった。



・虫プロダクションと虫プロ商事を失い、

莫大な借金を背負い、持ち家すら無くし、

借家住まいとなった漫画の神様。



・長者番付の常連だった手塚は、

借金まみれに陥っていた。

雑誌の連載もヒット作がなくなり、

手塚治虫に声をかける漫画雑誌もなくなった。



・出版業界では手塚はもう終わった、と噂された。

そんなとき、

秋田書店の『少年チャンピオン』で

手塚に漫画を描くチャンスが訪れた。



・声をかけたのは、

少年漫画誌のカリスマ編集者、壁村耐三編集長だった。


「手塚先生の死に水はおれたちがとろう!」

壁村は編集部で豪語した。



・漫画の神様、手塚治虫にだって容赦しなかった。

原稿が遅れている漫画の神様に向かって

「手塚!」

と罵声を浴びせ、やっと仕上がった原稿を、

「遅い!」

と言って天高く巻き上げる、

恐れを知らぬ編集者だった。



・手塚治虫最後の賭けだった。

旧世代の遺物扱いされた漫画家に声をかける壁村耐三も、

生涯を賭けた戦いだった。

何をやってもウケない手塚治虫にいったい何が残されているのか。

テーマは医学だった。



・長期連載としてではなく、巻頭カラーでもなく、

五回読み切りで、

『ブラック・ジャック』は、

少年チャンピオンにひっそりと登場した。

それが漫画の神様が置かれた当時の厳しい現実だった。



・手塚は大脳が沸騰しそうなくらい考えに考え抜き、

一話につき最低四話分の構成案を考え、

厳選して作品に仕上げた。



・『ブラック・ジャック』を読んだ読者の反響は

日増しに大きくなっていく。

回を追う毎に人気が高まり、

手塚治虫畢竟の傑作になった。



・さらに少年マガジンにて

『三つ目がとおる』も大ヒット、

巨額の負債を返済し、おつりがきた。



・会社員、教師、OL、主婦、

公務員といった人々とも出会い、話を聞き出すうちに、

どんな人間にも裏と表が併存していることを痛感した。



・性欲は落差に比例する。



・人格者ほど裏の顔が不道徳になるというのも、

その高低差の興奮に陶酔しているのだ。



★コメント

あらためて、高田馬場という街を歩いてみたいと思った。