◆佐高信『徳間康快。メディアの怪人』を読み解く
★要旨
・スタジオジブリの鈴木敏夫は、
徳間康快から聞かされた2つの言葉を強く記憶している。
「カネというのは紙なんだ。
みんながカネだと思っているからカネになる。
あんなもの紙なんだから、どうってことない」
「人間というのは最後になると、人が人の肉を食うんだ」
・徳間康快は逸話の多い人だった。
・逸話の極めつけは、一億円の香典である。
無頼の音楽プロデューサーだった長田暁二が、
徳間音工の常務だったとき、
出社すると、徳間に呼ばれ、
「喪服を用意しているから、それを着て、
すぐに新幹線で出発してくれ」
と言われた。
→行く先は、山口組の三代目組長、田岡一雄の葬儀場である。
受付で徳間に渡された茶封筒の中の一億円の小切手を出す。
それが影響したのか、
徳間の名代としての長田の席は最上席だった。
隣りに美空ひばり、鶴田浩二と続く。
・徳間康快の口癖は、
「カネは銀行にいくらでもある」
であり、
「お札は紙に過ぎない」
であった。
収支はトントンになればいい、
問題はその先を続けられるかどうかだという。
・この哲学があるから、
自分が見ていいと思えば惜しげもなく投資して、
それ以上の文句をいわなかった。
・「借金取りは墓場までは来ない」
こんな語録を遺した徳間は夢を売る男だった。
ホラに近い夢もあったが、
もともと夢とホラは紙一重であり、
ある人にはホラと聞こえるものも、別の人には夢と映る。
・徳間は、緒方竹虎を慕っていた。
緒方は、若い記者たちを連れて、
よく新橋の料亭などに出かけた。
そして、口癖のようにこう言っていた。
「みんな、言っておくが、ケチな遊びをするな。
ケチな遊びは一番人間の品格にかかわる。
芸者はカネで商売している身だ。
10円やらなきゃならんところは、20円やれ。
それを5円やるからいやがられて見下げられるんだ。
遊ぶにも堂々と遊べ」
★コメント
あらためて、豪傑力とは何かを学んだ。